第42話 一方その頃 巧と相沢姉妹、そして…
「……あなた、ううん君、成瀬君、だよね?」
「ち、チガイ……ます」
まずい逃げ遅れた。
「髪型もちゃんとセットされていて、服装とかもシンプルにでもダサくないように組み合わされていて、いつもと全然違うし、背筋とかもしゃきっとしてるからか全体的に雰囲気とかも違くて、もう最初全然わからなかったけど、いまでも信じられないけど……」
え?俺批評されてね?
そして逆をいえば、これ普段の俺は髪型もテキトーで、服装もださく、背筋は折れ曲がっているってならん。
いやまぁ髪型は基本寝ぐせとか治すだけだし、制服もたまに縒れていたりするけどさ……しょうがないかもな。
「でも話しぶりとか、話の雰囲気かな?それによくよく話してみれば、成瀬君だよね?」
「……チガウヨ~?」
「めっちゃ嘘つくの下手じゃん!口笛更けて無いし、眼逸らしてるし!」
めっちゃゴリゴリにばれた。もう秒でばれた。
「気づいたんだ、さすがギャルなだけあるね?」
勘が鋭い。
最近の女子はみんな勘が鋭いのか?
「いやギャル関係ないから!分かりやすいんだよ成瀬君が!」
「いや~この子ギャルなの見た目だけだから~」
そして姉妹で否定してることが違うのもおもろい。
「それ以上はいけない!」
「相沢さんそれ、はまってるよね?」
「使いやすいからこの子は使ってるだけだよ、高校生になってからアニメとかそっち系のコンテンツにはまり始めたからね~、中学の時はもう本当にまじめでさぁ……」
「……お姉ちゃん、家事、しないよ?」
「ま!今の話はぜんぶ嘘だけどね!元々ギャルだったけどね!うちのエミは!」
あ~、なるほど二人の関係性がだんだん見えてきた。
「……仲いいんだね?」
「そんなことはない……けど?」
「めっちゃいいんだよ!この子はツンデレだから、言わないけど毎週家事しにきてくれてね~」
「いやそれは頑張りましょうよ……」
「頑張ったんだけどね、なぜかより汚くなるっていう」
かすみパターンだ!
しかもその上位互換。
「……だから私がいってるんだー、バイト感覚でさ」
「バイト?」
「うん、やるとお小遣いくれるんだぁ、あと最新のファッションとかメイク教えてもらったり?」
「労働には対価が必要だよね?」
あ、たまにメイクとか他の子にしてあげてるも見たけどあれお姉さんに教えてもらったやつなんだぁ。
ちょっとしたバイト感覚で出来るっていいね。
そいやおれもバイトしたいなぁ。
「……あれ?そういえば君の名前って成瀬、巧、くん?」
「……はい、そうですけど!」
「やっぱそうじゃん!」
相沢さんが鬼の首を取ったようにびしぃっ!と指を伸ばしてくる。
「さっき言ったじゃん」
「さっき言ってたでしょ」
「……え?」
相沢さんさっき聞いてなかったんだな。
「どっかで聞いたことある気がするんだよな、その巧って名前」
……え?そんな有名じゃないぞ?
こういっちゃなんだが勉強ができる平凡な、女神に見初められた男なだし。
「耳にタコ、いやもう見たくないってくらいその名前を見た気がするんだけどなぁ」
「まじでわかんないですね」
てか見たくないほどってそんなレベルだよ。
そんなインパクトないぞ?
「うーん……そういえばその髪型って自分でやった?」
「いえ、人にやってもらいましたけど」
「その服も?」
「ええ、お恥ずかしながら」
俺にはセンスのかけらもありませんから!
いるのは俺専属の方だけ。
「なんだっけなぁ……こんな髪型いいよねぇとか……あ、そだ思い出した。かすみんだ」
「……かすみん、……誰?」
……相沢さんは知らないかもな。
でも俺は知っている。
よく、一番ていうくらい。
まさかこの人から聞くとは思わなかったけど。
かすみんて、俺の知っている人なら多分。
「かすみとはどういう?」
「やっぱりそうなんだね、私はかすみんのバイト、うーん、仕事、うん仕事仲間だよ?動画編集してるでしょ彼女、それ関係」
「あ~、全員女性スタッフだから安心って言ってたあの」
「うんそう、まぁ個性は強いけど。今度会わせるから!ってかすみん言ってたんけど先会っちゃった。どうしよおこられそう」
あの強気なエルさんがおびえてる。
かすみは何したんだこの人に。
「もう巧君のことを語る時のかすみんはさ、ははは」
本当何をしたんだろう。
「それも最近彼氏との時間あるからほとんど語られることは無くなったんだけど、ちょっとライン来たときでさえ盛大にのろけられたね」
ははは、と遠い眼をするエルさん。
わが彼女ながら自分のことを語られるというのは……えへへ
「ちょっと君にやけてるの隠せてないから」
エルさんがジト目でこっちを見ていた。
「え?」
「気づいてないのか、君とかすみん似てるねその辺」
「いや~」
悪い気はしないねうん。
「もうっ!じゃ今日はかすみんとの為の下見かね?」
「まぁそんなところです、後ちょっと別のところにも行くのでここらへんで」
「はいはい、じゃ」
最後相沢さん静かだったんだけどどうしたんだろ、まぁ色々あるか、みかけギャルだし!
そのまま俺は最後の目的地に。
向かうは湯島天満宮。
そして社で、
「かすみを養うために今後も頑張ります!」
と勉学の神様に意思宣言。
そう、今日はこの宣言をしに来ていた。
心機一転て感じでね。
時間もあったしちょうどいいか機会だったから。
「あ~今日やる事終わったぁ!」
気持ちよく帰ろーっと。
色々あった、デートの下見に来てただけなのに相沢さんを助けて、相沢さんのお姉さんにもあって。
そのお姉さんがかすみの仕事仲間ていう。
「世間は狭いっていうけど本当だなぁ」
こんどかすみの仕事仲間に会わしてくれるらしい。
それはそれで楽しみだ。
あ、そういえばかすみ、今日は妹と話するって言ってたけどなんの話だったんだろ。
ぜーんぜん想像つきまへん。
まぁ後で聞けばいっか。
んじゃとりあえず早く家帰って風呂でも……
「……ん?あれって?」
駅に向かう道を歩いているとタクシーに乗ろうとする一組の男女。
腰に手を当て、乗りやすそうにしている。
それだけならよくある光景。
紳士的な光景。
信じたくない。
信じられない。
でも自分の眼は間違えないと、いっている。
「……母さん」
自分の体温が冷えていくのを感じた。
今までのそれが虚構で、これこそが現実のように。
よみがえる今までの事。
母さんのこと、真希の事。
いままで見ないふりしてたことを。
「どういうことだよ、母さん」
俺のかろうじて塞ぎかけていた傷を隠していたつぎはぎだらけの蓋がはじけ飛んだ。
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1章終了です!
かすみの友達に母。
忙しかったですね笑
昨日は更新できずすみません。
東北に朝からいって、その日のうちに帰ったら無事爆睡しました!
自転車操業が裏目に出た……。
いつも応援して頂きありがとうございます。
星とかありがとうございます!!
モチベになりまくってます!!
後、感想とかも目を通してます、返せてないだけなので返せるときにかえしますので……
誤字脱字とか助かってます!
ではでは!
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