第8話 クアドロプル
デザイナーの試験の結果が、全ての試験が終わったその日に通知された。
結果は全て問題なし得点は公表されない、正か否かだけを判断されるのである。
データパッドの表示に全て正が並んでいる、と同時に自室の魔導転送器にMLLIと書状と記念品が届く。
晴れてクアドロプル・デザイナーを名乗れるようになったが、敢えて自分から公表するような愚は冒さない。
カレッジ側に通達が行けば、対応が少し変わるくらいだろう。
この時はそう思って安易に考えていた。
MLLIを付けなければバレないと踏んだわけだが、カレッジ側の情報収集網も捨てたものではないらしい。
私とエクレールは同時に、理事長室にお呼び出しをいい渡されたのであった。
私にはなんのことかよくわかるのだが、エクレールまで同時ということはお家の関係で何かあったのかな、と思うしかなかった。
そして理事長室の戸を二人で仲良く潜る、二人同時で構わないといったふうだった。
理事長は白い見事なお
理事長は扉を閉め遮音の魔法を使うと、部屋全体を遮音にした。
そして「おめでとう君たちは、カレッジでスキッピングクラスをやってのけた、二人とも二年に昇格だ、特にアストライア姫、貴方は素晴らしいクアドロプル・デザイナーとなったことお祝い申し上げる。エクレール姫、貴方は斑鳩国王陛下直々の書状により、スキッピングクラスとなったことを伝えねばならない、貴方がた二人はいつでも卒業ができる用意は整った、いつでも好きな時に卒業してもいい」といわれたのであった。
「そう言われても入ったばかりですから、時間の許すまでここに在籍しますが、公務のほうもありますのでいつまでとは申せません」と私はいうに留めたのであった。
エクレールも似たような返答になった。
公務という言葉で誤魔化された感はあるが、家の用事というのが正しそうだった。
私も詰まるところ公務とはいっているが、つまりは家の用事である。
その日はそのままお開きになってしまった、エクレールはカレッジの寮に移り住んでいた、寮といってもハイスクールとあまり変わらないワンルームマンションのそれなのだ単に規模がデカいか小さいかの違いであり、カレッジのそれはデカいだけである、他に共用のスペースが付くがあまり学生は使わないため閑散としているのである。
帰り道を寮のほうに回し、閑散としている共用スペースでくつろぎ時間を少し過ごし、これからのこととかを少し話すためエクレールの部屋で話した。
結論としては家から何かいわれるまでは、学生として過ごそうという判断になったのであった。
二人して似たような状況に見えるが、そこはかとなく状況が異なるのである。
私はいつでも好きな時に卒業できるが、エクレールのそれは家からの一方通行であるからだ。
「今日は話すことも少なくなったし、今日はこの辺でー」といって私はエクレールに手を振って別れ、待っている
珍しく、なんとなく気になったのだ。
こういう感覚はよく当たる、案の定帰宅型FPVの周りに人垣ができていた、「何の騒ぎですか?」と凛とした声を意識して話す。
「一年坊が邪魔なんだよ!」といって来てくれたので、その手を取ってそのまま組み敷いた。
「もう二年、いいえ貴方よりももっと先に居ましてよ」とはっきりといい切った。
組み敷かれたほうはパワーでほどけないどころか、さらに締め上げられて行くのに
「やっちまえっ」と声もカスレがすれにいった。
五人ほどが、私に触ろうとする、瞬間! エクレールが降ってきた、そして一人を投げ飛ばした。
私はすでに四人いる正確には五人だ、全員動けなくなっていた。
全ての相手を組み敷いてなお静かにいった「しつけがなってませんわね。それとも礼儀作法抜きで育ったのですか?」と笑みとも取れる表情を貼り付けた状態でいった。
怖い表情のままそういって周囲の人にいった、「警護官を呼んで来なさい、状況証拠で十分退学の要素が揃っています」と。
一人が駆け出した警護官室のほうに。
私はさらに締め上げ声すら出せない勢いで締めあげた、手加減はしている。
投げ飛ばされた一人がエクレールと対峙する。
その時警護官がやって来た、「姫お手を煩わせてしまい、申し訳ありません」と謝罪の話が来たが、「退学の要素が揃っています、各家に通達しなさい。国家反逆罪の要素もあります」と厳しめでいった。
さすがに私の剣幕におびえた警護官が応援を呼んで、その場にいて私に抵抗した者たちが捕まった。
「容赦はしませんよ」とだけ声をかけておく。
事実次の日から謹慎三カ月、寮の自室から外に出たら退学という厳しい処分が下ったのであった。
学内の先生方には「締めるところは締めないと緩みますから」と私ははっきりといったのであった。
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