第3話 意見具申

 ギルドに所属する設計者デザイナーは数多いが、一分野取得組が多く。


 メイン一本しかなく他の分野を追加で選ぶことは余りない、それに二分野習得組でも、各分野で同じ系列の物を追加するだけというものが多く。


 例えば、錬金と相性のあるのは薬系ドラッグ・システムであり、Mマジックマシン設計者と相性がいいのは艦船シップ設計者や機関エンジン設計者などであるからして。


 私の様に異なる四分野を取得している設計者は、ほとんどいなかったのである。



 とはいえまだ私も若く、設計の経験は合っても実際に開発を行った経験は少なく、ヨナ様にも「私の意見は軽いですよ」といって注意をうながしたくらいでもあった。


「ただ、採用するならば原種プロトタイプ新人族ニューレース種(以下PNRと省略)のほうが良いでしょう」ということを伝えておいた。


「個性という質は様々ではありますけれども、PNR種のほうがナイツやメイジを直にサポートできる上に普段の生活にも関われる。これは経験としてはかなり大きいのです」と伝えておいた。


「この差が、後になって響くのです。時間はかかっても、確実なほうをお勧めしますが?」と私はいった。


 事実私でも、時間はかかっても経験を後から得て学ぶことができるのだ。


 戦闘参加のみで経験を得ようとするB・C種は好きになれなかったため、本国仕様のB+級魔動機もPNR種仕様で開発・改良してあったりしたのだ。


 確かに相性問題はあるが、各々がえる環境を創れるのがPNR種の強みともいえたからである。



 B・C種には到底無理な話で、まずM・Mから降りて来ることができない。


 M・Mの頭に当たる部分に設置固定されているか、タンデム配置か並列配置の席の片側に固定されているからである、自分一人で移動できないとか色々大変なのである、機体を変更するにもすごく時間がかかる代物なのである。


 また、B・C種というのは液体の中に浮かぶスライムというかクラゲのようなものに複雑な巨大な脳と脳髄などをくっつけたような不定形な形状で、おぞましい姿の化け物と評されることが多い種である。


 サイズはさほど大きくはないがその形容に一般的におびえる子供たちが出るくらいのインパクトはあるのだ。


 サイズこそ小柄な中学生くらいの背丈ほどもある大きめのビーカーのような容器に入って育成されることもあり、タンデム配置や並列配置で隣や後席に置いて固定することも可能ではあるもののやはり不気味で恐怖をそそる異形なのである。


 子供なんかが光の入って来ない、廃屋でこれを見た日には、これ自身が自体発光する(淡く光るせいもある)ので「幽霊を見たー」といって逃げ出すような代物なのである。


 事実整備士メカニックさんや設計者にも同様の考えを持つ方はいるようで、こういう意見は実はかなり多かったりするのだ。



 しかしながら、B・C種は人権もないし扱いやすいと兵器屋はいうのである。


 その実質は開発期間二年以下の能力のみの人格や技術を持たない兵器であるからである。


 その実態は生体B演算機Cというものであり、機械式のコンピューターを生物のシナプスの伝送速度を利用し、さらにナイツやメイジから得た生体能力も応用し使い作られた使い捨ての兵器とみられることが多い。


 実際生産数は年数が二年以下という事もあり、定数を揃えやすいのも事実なのである。


 ただ、兵器会社としてはギルドに売りつけたくて仕方が無いというジレンマとギルドに採用されていることをアピールして売り上げを伸ばして好調に見せたいという思惑もあってか、一部の兵器会社にはタランチュラ悪の組織と密約を交わし売り上げを伸ばして見せることをするほどの者もいたらしいのは事実であった。


 もっともそれが発覚して以降、その兵器屋との取引はすべてを禁じられ何もできなくなって瓦解したそうではある。


 いわゆる犯罪予備軍に、変化しやすいのである。


 タランチュラと全面的に戦っている、ギルディアスとしては耐え難い実情でもあるのだ。


 だからといって兵器屋のいうをうのみにして、購入するなどできないわけでもあるのだ。


 貴重なナイツやメイジの人命がかかっているのであるからして、ギルドとしては兵器屋のいうを聞けなかったという要素もあるにはあった。


 そのことに置いても、ヨナ様は懸念けねんの色を示しておられたのであった。

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