わるいこだれだ
「いったいなんの話をしておったのかの?」
「あのお姉ちゃん逆こっくりさんって言ってたの」
「にゃーん」
「お前ら、俺以外に取り憑く相手を探して変な噂流したんじゃないだろうな?」
俺の問いかけに、コマリは何かを考え、リリは不思議そうな顔をし、くろはあくびをしている。
……反応を見る限りだと、遠山が誰かがネットから拾ってきた噂だと言った通り犯人はこいつらではなさそうだな。
そもそもこいつらはこいつらなりの我を通すための行動が俺への悪戯や嫌がらせになってるだけで悪意を持って何かをしたことはないし。 ……いや、あるか。
「ふむ、話を聞くに何やら良くない噂が立っておるようじゃのう」
「こっくりさんはしちゃダメなの」
「はぁ、全くもってその通りだな……」
「……にゃ」
今になって目の前の三人を見ると、あの時バカなことしなきゃよかったとつくづく思うよ。
「ま、埒の開かぬ問答はもうやめじゃ。詳しく話してみよ」
「お兄ちゃん、教えて教えて」
「はいはい、わかったよ。逆こっくりさんって言うのは――」
そうして遠山から聞いた逆こっくりさんの説明を思い出しながら話している間、コマリとリリは大人しく聞いていたが、くろは興味を失って伸びをしながら猫の姿になって窓辺の定位置に戻っていった。
「――って話だ」
「ほう、なるほど。上手いことごまかしおったのう」
「はぁ? それ、どういう意味だよ。こっくりさんが危ないのは遠山に説明した通りだぞ」
「おほほ、それだけじゃのうて、その
「うう…… 怖いの」
愉快気に笑うコマリは普段通りの不愉快さで、怖がる
「ふーん、お前らより質の悪い妖怪なんていないだろ…… あっちぃ!」
思ったことを口にした瞬間、目の前で青い炎がはじけて俺の鼻先を炙った瞬間、思わず身体を逸らせるが、少し反応が遅かったみたいだ。
「くっそ! 鬼火を出すな!」
「かっかっか、弱火にしておいてやったぞ」
「そういう問題じゃねぇよ! あー、くっそ! 痛ってぇ」
俺の反応を見て大笑いするコマリを想いっきり睨みつけていると、リリがそばに寄ってきてつま先立ちで背伸びをしながら右手を俺の顔の方に伸ばしてきた。
とは言っても、どう頑張っても俺のみぞおちあたりまでしか届かないんだが。
「お兄ちゃん大丈夫? 痛いの痛いの飛んでけする?」
「いらねー」
「もう、ちゃんと効くから言うとおりにするの!」
もうだれも信用ならんと拒否すると、今度はぷんすか頬を膨らませながらみぞおちをバシバシたたいてくる。まぁ、害があるもんじゃないし良いか。
「……はいはい、じゃあ頼むよ」
この演技だか何だかわからん仕草にまんまと乗せられ屈んでリリに文字通り顔を差し出すと「いたいのいたいのとんでけー」と小さい手で鼻の頭を撫でてくる。正直効果はよくわからないけど、もうどうでもいいや。
「で、質の悪いモノってなんだ? まさか、悪霊とか怨霊とか言うんじゃないだろうな?」
「さての。鬼が出るか蛇が出るか、妾にもわからん」
これはもう誰にもわかんねーな!
「ま、遠山がやらないようにみんなに広めてくれるから大丈夫だろ」
「それならば良いんじゃがのう」
「気をつけなきゃなのー」
さて、逆こっくりさんの話が終わったところで、こいつらが犯人に決まってる残りの噂のことも問いたださないとな……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます