第37話 ドロナック炎上戦線



『デラ・ベオローマ』


 

 バルバトスが呪文を唱えると空が真っ黒に染まり巨大な亀裂が走った。


「空が割れた?

 何これ!?

 これは魔術なのか!?」


 亀裂から紫色の球体が現れ、黒色のマナがバルバトスに注がれバルバトスの魔力がみるみる増幅していく。


「終わりだ…。

 リッキーリード…」


 紫色のマナがバルバトスの全身を覆い、俺に向かって凄まじいスピードで体当たりして来た。

 

 強烈な一撃だった。

 俺は吹き飛ばされ建物をいくつも突き破り地面に激突した。


 間髪入れずにバルバトスは魔力の弾丸を俺に乱れ打ちした。

 俺の周辺は粉々に吹き飛び周囲の民衆は悲鳴と共に逃げまどった。


「くそ!

 あいつメチャクチャじゃねーか!

 にしても…。

 強い!!

 本当に5分で倒せるのかよ

 アドリアーノ…」


 ダメージは確実にある…。

 何発も貰える攻撃じゃないな…。


 再び球体から黒色にマナがバルバトスに注がれ更に魔力が増大した。

 

 底なしのブースト術式かよ!?

 長引けばどんどん強くなるじゃないか…?


「死ねぇぇ!!

 リッキーリード!!」


 バルバトスが再び魔力の弾丸を連射した。

 

 やばい!

 このままじゃ、この国ごと灰になってしまうぞ!


『インフェルノ・ダーク・バレット!』


 俺も黒色光弾をバルバトスに向けて放った。

 インフェルノ・ダーク・バレットはバルバトスの光弾を弾き飛ばしバルバトスに直撃したかに思われた。

 

 しかし、球体から出たマナがバルバトスの全身に絡みつき俺の魔術をはじき飛ばした。


「クソチートじゃねえかあいつ!!

 何!?

 あの謎の球体さんバックアップ!?」


 バルバトスは地上にゆっくりと降り立った。


「リッキーリードよ!!

 お前はここで確実に消えてもらう…。

 我が種族の脅威となりうる男だ!!」


 まずいな…。

 大魔法を使うにしても、あいつはあの球体に守られているみたいだ…。

 あの球体がある限り、5分という制限時間内にあいつを倒すには何か打開策を見つけないと…。


 その時、聞き慣れた声が聞こえた。

 

「ゴールデン・マザーメイアタック!!」


 突然バルバトスの背後から金色に輝くメイが現れバルバトスに掴みかかった。


「リッキーちゃん!

 助太刀に来たわよ!!」


「ふん。

 虫けらめ!」


 メイの腹にバルバトスの強烈な拳が突き刺さった。

 メイはバルバトスの球体に後頭部を打ち付け意識を失った。

  

≪パリ!!≫

 

 その時、球体に少し亀裂が走った。


「メイさん!!」


「師匠!!

 助けに来ましたよ!!」


「クリス!!」


「あの怪物は一体何者ですか!?」


「あいつ古代悪魔のバルバトスだ。

 とんでもなくヤバいやつだと

 紹介しておくよ」


「どうやらその様ですね…。

 目の前にいるだけで

 恐怖で気を失いそうです師匠…」


「しかし、攻略法がないわけじゃない」


 俺は決して見逃してはいなかった。

 どうやら攻略法は見えてきたよ…。



「クリス!

 話は後でする!

 俺の言う通りにするんだ!」


 俺はクリスに魔力回復魔法を使った。


「俺が気を引き付けている間に

 背後に回ってあの球体に

 『ランサ・デ・サビオ』を

 打ち込むんだ。

 チャンスは一度きりだが

 お前なら必ず出来る!」


「分かりました…。

 任せてください!」



『エクスプロージョン!』


 俺は爆撃魔法でバルバトスの視界を奪った。

 そして両手に魔力を込めてバルバトスに連続で叩き込んだ。


「無駄だ!!

 きかんぞ!!

 リッキーリード!!」


 その時、バルバトスの背後からクリスが爆風にまぎれて現れた!!


『ランサ・デ・サビオ!』


 クリスのランサ・デ・サビオは球体を見事に打ち抜き粉砕した!



「これでもう

 魔力防御も出来なくなったな」


 

 俺はバルバトスのアゴに渾身の魔力を込めたアッパーを放った。

 バルバトスの体は宙に舞った。

 

「バカな…」


「さようなら…バルバトス…」


『ノヴァ・エラ』



 俺が放ったノヴァ・エラはバルバトスを空の亀裂ごと吹き飛ばし消滅させた。




≪!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!≫


 巨大な光と爆発の後に空はすっかり夜空になっていたが、元の色を取り戻した。


 これは後に、天をも吹き飛ばしたリッキーリードの大魔法と伝えられる一撃となった。 


「師匠…。

 終わったんでしょうか…?」


「ああ、終わったよクリス…。

 勝ったんだ…。

 さて…帰ろうか…」


「そうですね…。

 師匠!!」

 


        To Be Continued…

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