第182話 異次元空間の主 6 神獣と鬼畜マスター俺様
青く輝く光を纏い巨大化したベスが吼え、その咆哮は衝撃波となり鎌の女性を襲う。
「これは……!」
女性は鎌を盾に耐えるが、再び吼えたベスの第二波でその自慢の鎌を吹き飛ばされる。
その瞬間すでにベスは女性の足元まで移動し、その大きな爪の生えた右手を振りかぶる。
「バカな……この私を抑えるなど、獣一匹が出せる力ではないぞ……!」
ベスが右腕を振り下ろすが、女性は氷の壁を作り出し防ぎ後方へと退避する。
そこには俺の若さゆえの欲の力がたっぷりと乗っているんだよ。
美人三人に囲まれ、ここまで我慢してきた俺の欲をお前で発散させてもらうぞ。
ふはは。
「人間が……!」
女性は背中に青く輝く氷の羽を生やし、俺に突進してきた。
まぁ、ベスとやり合うより貧弱なコントロール主を叩こうとするのは当然だわな。
だが、遅いな。
「駆けろ三つ頭……ケルベロスラージュ!」
俺の合図に呼応しベスの光る巨体が三体に別れ走り、女性の右手、左手、両足を甘噛みし、動きを止める。
女性は抵抗するも、三体のベスの力には抗えず俺を睨んでくる。
「人間……! 貴様どういうつもりか……! くそっ、幼体でなければこんなもの……!」
何言ってるか知らんが、今のお前は身動きの取れない囚われのお姫様ってとこなんだよ。
悪いが今の俺は欲に飲まれた身でな、普段の俺なら絶対出来ないことをやらせてもらうぜ。ひひ。
「な、なにを……!」
俺はベスに噛まれ身動きの取れないのをいいことに、女性の軽鎧に手をかける。つなぎ目を丁寧に外し鎧の胸部分を剥ぎ取る。
服の上からでもなかなか大きいことが分かるぞ。
何度も言うがこんなこと普段の俺だったら絶対出来ないからな。
生き残る為に欲に飲まれている状態だから、なんだかんだ……ごにょごにょ……な?
「や、やめろ……やめろ人間!」
女性が何をされるか分かったようで、より抵抗してくるがベスがそれを上回る力で抑える。
「アプティ、これめくってくれ」
俺はアプティを呼び、ベスに囚われた鎌の女性の上着をめくるように指示を出す。俺にやられるのが相当嫌っぽいし、なら女性のアプティにやってもらおう。その姿を眺めるプレイもまた趣がある。
「マスター……鬼畜。でも普段は見せないその強引さ、私は好きです……いきますよ」
「や、やめろやめろ! ああああ……」
アプティがなんのためらいも無く鎌の女性の上着をめくり上げ、その大きな胸があらわになる。
おおおお……大きさはラビコぐらいかなぁ。
生で見たのが小さめなアンリーナと大きめのラビコのしかないから比較が上手く出来ないが。どうだ、これが俺の欲に飲まれた強さだ! うはは。
「そこまでだ、いや面白いものを見せてもらったぞ、くふふ」
背後から身震いするような威圧的なオーラが膨れ上がり、マントを外した魔王がものすごい速度でこちらに飛んでくる。
ベスがなんとか反応し、幻影の二体を盾にして俺とアプティを守ってくれた。
「くふふ、まさかジェラハスのこんな面白い場面が見れるとは思わなかったぞ。普段真面目で感情を表に出さないジェラハスの乱れたシーンは、私もハラハラしながら見入ってしまった」
ベスの出した幻影の二体が一瞬にして消し飛び、その隙に魔王が鎌の女性を抱え元に位置に戻って行った。もうちょっとじっくり見たかった。
「エウディリーラ様……ひどいです……」
鎌の女性が衣服を直しながらむすっとした顔で抗議をする。魔王はくふくふ笑いながら、鎌の女性の肩をバンバン叩く。
「あー面白かった。そしてお前達の力、量らせてもらったぞ」
魔王は笑ってはいるものの、その放つオーラは質量でもあるかのように重い。
ベスを指し魔王はニヤリと笑う。
「まさか神獣化するとは驚いたぞ。長く世界を見守ってきたが、初めて見る能力だ。人間の部隊で連れている犬が変身する能力を知ってはいるが、それはただの狼化なだけだ。だがその犬は、お前を守るため神獣の力を宿した。神獣イルシオフェンリス……魔王の血がうずいてしょうがなかったぞ」
魔王は興奮したように小さくジャンプを繰り返す。
魔王なのに行動はかわいい子供だな、背も低いし。そういえばラビコは魔王ちゃんと言っていたか。
「神VS魔王……ああ、なんと甘美な響き……おいお前、いつか私と戦え、いいな」
神獣イルシオフェンリス……ベスの力はそこから来ているのか。
あと魔王とは戦いたくない。
さっきベスの二体の幻影をあっというまに消滅させられたからな。
あれ、少し力は分散しているものの、一体で本体の八十パーセントの力は出ているからな。それが一瞬で消されたんだ、実力の差は歴然だ。
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