第36話 るるるるるぶ若い男女が密室様
旅行も終わりかぁ。
とりあえず違う街にこれたのは異世界生活満喫度1UPってとこか。
「…………」
旅というものは普段気付かない人の一面が知れると聞く。
今回は予算の都合で三人同部屋。若い男女が旅先で同部屋。
狭い密室で男女が……言葉遊びはもういいか。
俺は宿屋のパンフレットを見てるふりをしてロゼリィを眺める。
ロゼリィは肌が白くて綺麗だなぁ。
ずっと宿屋で育って、仕事も受付だしな。太陽の影響の肌荒れは少なそう。よく化粧品買っているしな。暇を見つけては出かけて、商店街の薬局で化粧品をチェックしている徹底ぶり。
ラビコはずっと傭兵生活をしていたそうだから、太陽で焼けた健康的な肌。
普段着が水着にロングコートなので、露出多めで俺はありがたい。ロゼリィは肌の露出は苦手みたいだな。いいスタイルしているのにもったいない。
「社長さ~すっごいニヤけた顔してるの自分で分かってる~? あと視線がストレート過ぎ。もうちょっと気付かれないように見ないとダメかな~あっはは~」
くっ……!? しまった、パンフレットで顔隠していたつもりだったのに……。
「ほらロゼリィ、だから言ったじゃない。社長はこういう人だから、旅先では露出多目が有効だって~」
ラビコがニヤニヤしながらロゼリィに話を振る。
「で、でも……やっぱり恥ずかしくて……派手な人と思われるのはマイナスなんじゃないかと……」
それならラビコはマイナス振り切って測定不能クラスになっているぞ。
「いや……悪かった。さすがに部屋が一緒だとそういう欲も少しは出てしまう。こんなかわいい子たちと一緒の部屋にいれるなんて人生初なんでな。舞い上がってしまった、すまん」
次からはパンフレットに穴開けてそこからのぞこう。名案だ。
「あははは~社長正直過ぎ~私社長のそういうとこ好きかな~」
「……!わ、私も! か、覚悟は決まっています! だから一緒に来ました!」
「ベスッ!」
ベスが二人に続いて吼える。三人の視線を受けベスが不思議そうな顔をした。
「……ぶっ、あははっ!」
二人が堪え切れないという笑い。いつもの平和な四人だなぁ。
深夜、宿屋のロビーで水を頂く。
静かな夜。俺達の宿屋と違い、酒場が無いので夜は人もいなく静か。
外の虫の音がよく聞こえるな。
ソファーに座り少し考える。
異世界に来て不安だったが、本当にあの二人と出会えて良かった。おかげでなんと毎日が楽しいことか。
もし違う街、例えばこの街に最初に降り立っていたら俺はどうなっていたのだろうか。ロゼリィがいない、ラビコもいない。ベスと俺は生きていけただろうか。
あの二人には感謝してもしきれない、大きな恩がある。いつか返せたらいいなぁ。例えばお金をたくさん稼げるようになったら、宿屋に出資して設備を豪華にしたりとか。ラビコは……キャベツ山盛りでいいか。
今日はここで寝よう。さすがに二人と一緒の部屋じゃな。
「……と、ベス……起きて来てたのか」
「ベスッ」
ベスが部屋からトトトと降りてきて、俺のお腹の上で丸くなる。
「明日は徒歩で大変だろうなぁ……少ない資金でなんとか工面して安全第一で行こう……ふぁ……ねむ……」
翌朝、宿の朝食の準備の音で目が覚めた。
いつつ……そういやロビーのソファーで寝たっけ……。
「ん……毛布……?」
俺とベスの上には部屋にあった毛布がかけられてあった。二人のどちらかが、かけてくれたようだ。
「ぉはよ~社長~……ふぁ~」
ラビコがもそーっと階段を下りてきた。
「おう、毛布ありがとな」
どちらかは分からんがとりあえずお礼を言う。
「さて……なんのことやら~それより社長~キャンプの準備いこうか~」
キャンプ? ああ、野宿するしな。
「命を懸けたキャンプが~今夜私達を待ち受けている~ってね~あっはは~」
う、そう言われると怖いな。
たしかにモンスターに襲われる危険をおしてのキャンプになるだろうし、命懸けか。対モンスター用品ってのを買わないとな……。
「なので社長~まずはキャンプ場の入場料を用意して下さいね~。一組100G~」
キャンプ場……入場料……?
……ん?
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