第12話 第2回戦(2) M&Aケーススタディ②

3チームとなり第2回戦は続く。


「第2問目のケーススタディはこちらだ」

アナウンサーが叫ぶと、再び大モニターに注目が集まる。


『M&Aにおけるもっとも重要な契約の中に株式譲渡契約があるが、

 どのような構成になっているか説明せよ。制限時間は2分』

 

「2分?えーっと、えーっと……」

焦るフユミ。


「落ち着け。基本的な内容で構わないんだ。ワードに書いていこう」

ケイスケはさっさとPCをたたき始める。


「まず、当事者の定義から始めるよな」

「そうね。次は譲渡対象の範囲を定義ね」

「えーっとぉ、譲渡対価もだね」


カチャカチャ……ケイスケの高速キーボードがうなる。


「クロージングまでの義務、クロージング前提条件、クロージングの手続き・・・」

ケイスケ自らも呟きながら入力を続ける。


「クロージング後の義務、表明保証、補償条件……」

「秘密保持、紛争解決、準拠法……」


”ピピー!”

「時間です。それでは、全チームの回答をオープン」


3チームの回答がオープンされた。


フユミは他のチームの回答を見渡した。

(北海道チームは私たちと似たようなものね。今日大チームは……ええ!?)


今日大チームは、項目としてはチーム東大FAとほぼ同じ回答だったが、それぞれの条項に説明書きまで付記されていており、かなりしっかりしたタームシートとして出来上がっていた。


「全チーム正解。中でも今日大のチームまろまゆはすばらしい回答だ」

会場を大きな拍手が覆う。


さわやかな笑顔を振りまくチームまろまゆのイケメン4人。

そして、チーム東大FAにその笑みを向けた。


(く、くやしいけど、今回はあなたたちの勝ちだわ。第3問、見返してやる)


フユミはさらに闘志を燃やし始めた。

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