幼馴染みのおっぱいを感じながらの休み時間とファーストキス

「……目立ってる」


 教室での休み時間、都がくっついてくるせいで自分の席についている大輔はクラス長年から視線を浴びていた。


 学校一の美少女である都が男とイチャイチャしてたら注目されるだろう。


 流石に家と同じようにあからさまに胸を押し付けるようなことはしてこないが、たまにさりげなくムニュウ、と胸を押し付けてくる。


「いいじゃないですか。私たちの仲の良さを見せつけましょう」


 甘い囁きをしてきた都に、「ふう〜」と耳に息を吹きかけられた。


 クラスメイトの男子たちは羨ましそうに見ているが、思っていた通り何もすることが出来ないようだ。


 何かしたら嫌われるのが分かっているからだろう。


「目立つのは好きじゃない」


 想像していた通り、沢山の視線を向けられるのはストレスになる。


 陽キャであれば視線に慣れているだろうが、陰キャに慣れるなんて無理な話だ。


 今までも都と幼馴染みってだけで嫉妬されたことはあるも、ここまで視線を向けられたのは初めてだった。


「皆さん、大ちゃんが嫌がっているんで見ないでください」


 冷たく重い声で言い放った都に、クラスメイトはドン引きしたのように距離を取る。


 今までにないくらいに冷たい声は、男子であろうと怯えるには充分なようだ。


 これ以上見ていたらヤバいと感じ取ったのか、クラスメイトたちはスマホを弄ったり、他の人と話し始めた。


「さて、これでゆっくりイチャイチャ出来ますね」

「イチャイチャはするのな」

「もちろんです」


 えへへ、と頷いた都に胸を押し付けらる。


「授業中以外は、ずっと誘惑し続けますよ」


 胸を押し付けながらの甘い囁きが止まらず、本当に授業中以外はずっとしているのだろう。


 この休み時間は十分しかないが、昼休みはご飯を食べながらも誘惑してくるのが安易に想像出来る。


 イチャイチャするのは嫌ではないながらも、昼休みはどこか二人きりになる必要があるかもしれない。


 どこで食べるか考えている時に予鈴が鳴った。


☆ ☆ ☆


「私の愛妻弁当です。どうぞ」


 昼休みになり、大輔は都を連れて二人きりになれる場所まで来た。


 この学校は屋上に立ち入りが禁止されているため、階段を登って屋上前の場所にはほとんど人が来ない。


「俺たちは結婚してないはずなんだけどな……」


 愛妻弁当は妻が夫に作るのであって、結婚していない男女の間で使われる言葉ではないだろう。


「将来は大ちゃんと結婚する予定なので」

「そうか」


 都は将来結婚する気で誘惑しているだろうし、今までも良く作ってくれていたが、これからは毎日お弁当を作るはずだ。


 性欲に訴えかけると同時に、胃袋を掴むのも止めないのだろう。


「じゃあ食べましょう」


 ピンクの布を解いてお弁当箱の蓋を開ければ中身が露になる。


 昨日の晩ご飯の残りのキチンやポテトサラダなどがおかずに使われており、昨晩と同じく美味しくいただけるだろう。


「あ、あーん」


 家と同じく、都は胸を押し付けながら大輔の口元にチキンを持ってくる。


「あーん」


 何を言っても止めてくれないのは分かっているため、大輔は口元にあるチキンを食べていく。


 昨日食べたチキンと同じだから美味しく、全部食べてしまいたくなる。


 だけどお弁当は一つしかないから全部食べるわけにもいかず、都の分も残しておかなくてはならない。


「あー……」

「ちょい待ち」

「はい?」


 再びあーんとしようとしてきた都の手を持ち止めると、彼女は不思議そうに首を傾げた。


「昨日もそうだったけど、都も食べないと」


 全く食べないわけではなかったが、昨日の都は大輔にあーんってして食べさせていたからほんなに食べていない。


「食べますよ」

「そうか。箸貸して?」

「はい? だ、大ちゃん?」


 箸を受け取った大輔はチキンを都の口元に持っていくと、彼女は驚いたような顔をした。


「食べなさい。あーん」

「あ、あーん……」


 頬を真っ赤に染めた都は、口元にあるチキンを食べていく。


 食べさせるのは大丈夫なのに、食べさせられるのは恥ずかしいらしい。


「か、間接キス、ですね」

「そうだな」

「直接が、いいです」


 視線が合わせられないくらいに恥ずかしいのか、耳まで赤くなっている都はこちらを向いていない。


 直接というのはマウストゥマウスのことだろう。


「キス……俺は都の誘惑は断らないから都からしてきていいよ」


 どんなに誘惑してきていいと言ったのだし、キスしてくるのを止める権利はない。


 だから都がキスしてくるのであれば、そのまま受け入れるつもりでいる。


 本来であれば付き合っていないならしない方がいいのだろうが、都からの誘惑は拒否しないと決めた。


 それが言った者の責任なのだから。


「大ちゃんから、してほしいです」


 手足をモジモジ、と上下に動かしている都は、キスをしてほしいかのようにこちらを見たり視線を反らしたりしている。


 ファーストキスは自分からいくよりしてほしいのだろう。


「しょうがないな」


 ソッと優しく都の頬に触れ、彼女の顔に自身の顔をゆっくりと近づけていく。


 あわあわ、と慌てている都は、有り得ないほど恥ずかしいらしい。


「……んちゅ」


 恥ずかしくても抵抗することなく、都は大輔のキスを受け入れた。


「えへへ。ファーストキスを大ちゃんに捧げることが出来ました」


 本当に嬉しいらしく、都の口元はずっと緩んだままだったのは言うまでもない。

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