第238話 壁といったら‥


土地についてはある程度の予定がたった。

次に決めるのは国境についてだ。


やはりセキュリティを考えると壁だよな‥。

街道付近には門も必要になるし、決めることがいろいろある。

壁の高さも考えないと‥。


さすがに進撃の何たらのような巨大な壁は必要ないと思うけど‥。


「国境に作る壁は3メートルぐらいでいいかな?」

俺は気軽に聞いてみた。


すると「はぁ?」的な感じで睨まれた。


「イチロー様、国境ですよ?よじ登って密入国することやからもいますので、10メートルは必要かと‥。」

アメリアに注意される。


「うーん、国境全てを10メートルの壁作るって大変だよね?そもそもイリスと玖々莉は土地の方に集中してもらいたいし‥。誰が魔法で壁作れる?」

全員が目を逸らす。


さすがに壁を作れる妖怪とかいないよなぁ‥‥。


「「「あっ、いた!」」」

何匹かの妖怪と同じ事を考えたみたいだ。


すぐに妖怪タブレットで例の妖怪を呼び出す。


光の柱が現れて、そこから例の妖怪が姿を見せる。

ピンクのツナギを着た、コテとコテ板をもった「ぬりかべ」だ。


顔は日焼けして黒く、ポニーテールが良く似合う。活発そうな顔立ちをしている。


「旦那、呼んだか?」

ぬりかべが俺をみて話しかけてくる。


「俺が作る国の境に丈夫な壁を作って欲しくて呼び出したよ。」


俺の話を聞いて興味が湧いたようで詳しい話を聞いてきた。


「殆どの妖怪は妻になったけど、神様に頼んだら元の世界に戻れるかもしれないので安心して。」


「それについては、保留な!とにかく壁を思いっきり作らせてくれ!!」

目を爛々にして懇願してくる。


「名前はどうする?」

一応、聞いてみる。


「結婚すると決めた時に名前をくれ。そらまでは『ぬーちゃん』と呼んでくれ!」

ぬりかべが見た目とは違う愛称を言ってくる。


思わず妙な空気が流れるが、本人はいたって本気のようなのでツッコミはあえていれなかった。

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