第40話 暗示
「そろそろ起きてくれるかしら?」明日香が雪花の頬を軽く叩く。
「ぬらりひょん!旦那様を‥」
「それはもういいから、とりあえず貴女はこれを見なさい。」明日香が人差し指をゆっくり動かす。
最初は暴れていた雪花も段々意識がなくなっていった。
それからどれだけ時間が経ったのか分からないが、雪花が目を覚ました。
「ここは‥」雪花は混乱している様子だ。
「大丈夫?気分悪くない?私がわかる?」
「えっ?何でぬらりひょん様がこんなところに!」雪花が目を見開く。
「あ、改めて言われると照れるわね‥」
「あれ?旦那様は?」雪花が辺りを見回す。
「旦那様は大丈夫だから、まずは貴女のことを説明するわね。」
「わ、分かりました。」雪花が真剣な表情をする。
「あなた、強力な暗示をかけられていたわ?心当たりない?」
「暗示ですか?いえ、特には‥」
「まぁいいわ、暗示は解いたからもう大丈夫よ。」
「あ、ありがとうございます。」
「礼には及ばないわ、イチローの為だし‥。では、今までのことを説明するわ」
明日香が雪花に詳しく説明する。
「私が旦那様の子を身籠ってる‥。嬉しい‥。」雪花がぼろぼろ涙を流す。
「そっち?暗示かけられたこと、腹が立たないの?」
「たしかに暗示のこと気になりますけど、旦那様の子供が出来た事にも比べたら、どうでもいいです。」
「あなた本当にイチローのことしか考えないのね。まぁ、本来のあなたはそんな性格だったわね。イチローを押さえつけて襲ったり、鎖で縛ったりするわけないのに‥。あの女、絶対殺す!」
明日香が拳を震わせて怒る。
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