ユーの名は

「ホブゴブリンさん! はい、ホブゴブリンです。ホブゴブリンもいます」

「おお。二人とも無事だったか! 良かった。ホブゴブリンとホブゴブリンにホブゴブリンも心配していたぞ。捜索隊も出したんだぞ」


 ダリアとバンズが容姿の隠匿を解除して元の姿に戻る。

 中年ホブゴブリンはこちらに今気づいたのか、驚いた表情で尋ねる。


「人族の子か? 久しぶりに見たぞ。ホブゴブリン、人族の子をこの村連れてきたのか?」

「カエデさんは命の恩人です」


 ダリアが中年ホブゴブリンに今までの経緯を説明すると納得したように頷く。


「人の子、ホブゴブリンとホブゴブリンが世話になったな。ありがとう。俺はホブゴブリンという」

「……よろしく」

「妖精女王さまが付いていらっしゃるので信用できる人族だ。左肩のそれも妖精か? 初めて見る感じの妖精だ」

「迷いの森にたくさんいたけど、妖精」

「あやつらとは違う種類だ」


 妖精の種類なんぞ言われても、知らないし。


「危険なの?」

「んー。長老様に見せて判断を仰ぐと良い。二人を助けたのだから、長老様からも一言頂けるはずだ」


 齢900歳のホブゴブリンか。他のことも情報を知ってそう。

 中年ホブゴブリンを先頭に村へ歩いて向かう。


 ホブゴブリンの村に入ると、すぐにたくさんのホブゴブリンたちがダリアとバンズを囲む。


「ホブゴブリンとホブゴブリン、よく帰ってきた」

「誰かホブゴブリンの家族に知らせに行って」

「兄さんのホブゴブリンも心配して毎日捜索に出てたぞ」


 ホブゴブリンの村の人々が喜んでいると、奥からダリアとバンズの両親だろうホブゴブリンが走ってきて二人を抱擁する。


「ホブゴブリン、ホブゴブリン、良く無事に帰ってきた」

「母さん、父さん、ただいま戻りました」


 ダリアとバンズが嬉しそうに二人を再び抱きしめる。

 再会の喜びを一時過ごしたダリアとバンズに両親を紹介される。


「こちらが助けていただいたカエデさんです。母のホブゴブリンと父のホブゴブリンです」

「初めまして。ホブゴブリンの父、ホブゴブリンです。本当にホブゴブリンとホブゴブリンを救っていただきありがとうございます」

「あ、ああ……どういたしまして」


 それから村人のホブゴブリンとホブゴブリンとホブゴブリンに紹介される。村のホブゴブリンは初めてこそは不安そうな顔をして私を見ていたが、ダリアとバンズを助けた経緯を説明した途端フレンドリーになった。

 村人の顔はそれぞれ違うので識別はできるけれど……

 ダリアとバンズの母親が私の手を取り、家へと案内する。


「ささ、旅で疲れたでしょう? 今夜はご馳走を作るから、滞在中は私たちの家で過ごして頂戴」














**

35です。











嘘です。34です。



 

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