マルゲリータとの話
次の日、ダリアとバンズと冒険者ギルド向かう準備をする。
双子は今日、イーサンと薬草取りの依頼を受け、早朝から楽しそうに森へと向かった。日帰りなので夕食頃には、宿に戻っているのではないかと思う。
宿を出ようとしたら、筋肉質の受付の女性に声を掛けられる。
「フェンリル娘、伝言預かってるよ」
「カエデです。伝言?」
いろんな名前が定着しすぎじゃね? 私も人の名前覚えるの得意じゃないから良いけど『凶猛土下座のカエデ』とか『フェンリル娘』とか『ウルフ娘』とか。
宿の受付から貰った伝言はコリンからだった。コリンとは町に入って以来、一度も会っていない。戦利品を色々売り捌きたかったから、良いタイミングでの連絡だ。
受付に伝言と渡されたのは、手紙と地図。
手紙を読む。
~カエデさん~
コノテガミが無事にトドクコトをイノル。ナンドカ宿をタズネタがイキチガイになったようだ。
こちらはブジ、ミナガ泊まるイエを借りた。
会ってハナシガしたい。オレたちノ今借りてイルイエのチズをドウフウする。時間がユルセバタズネテキテクレ。コリン。
住所の地図を開く。これは、あの徘徊ジジイの家の近くか。迷いの森へ出発する前に会いに行くか。
冒険者ギルドを訪れると、すぐにマルゲリータの執務室へと連れていかれる。あぁ。
「あら、カエデさん。本当に貴女とは良くここで合いますね」
「は、はい」
「今回の討伐。お疲れ様でした。そちらにお座り下さい」
今日はガークは不在。マルゲリータと差し向かう。
執務室の端には、カエデ作のゴブリン耳標本が置いてある。時間が経過したからか、耳が萎れている。
「大丈夫ですよ。あの耳もきちんと討伐の数として数えましたから」
「それなら——」
「407匹。雌も入れたら408匹。一人でこの数の討伐をどう思いますか?」
マルゲリータが本性を露わにしたようなギラついた顔で尋ねてくる。
どう思うって言われても、知らないし。
「大量かな……と」
「大量どころの話ではないですね」
「まぁそうだけど……」
マルゲリータとの間に暫くの沈黙が流れる。
「そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ。賊の討伐を含め、貴女のことはフェルナンド様から伺っています。何より、肩にいる彼らが貴女を信頼しているようですから。普通にして下さい」
「分かった」
前から分かっていたけど、マルゲリータはギンのことも見えていて、どういった存在かもある程度把握しているようだ。
ギンもマルゲリータに手を振っているので警戒はしてなさそう。
「それでは報酬の話ですね。今回の討伐ゴブリン407匹。報酬は、銀貨20枚銅貨3枚と半銅貨1枚ですね。雌の討伐は金貨2枚。巣の発見と殲滅の報酬は、調査後の支払いになります。これだけのゴブリンと雌の証拠があるので疑いようがないですけどね」
ゴブリンは1匹の討伐で半銅貨。407匹で銀貨20枚とちょっとは安いような気もするけど……所詮は、1匹日本円なら500円程度の魔物ってことか。でも、マミーの金貨2枚は儲けもの。倒すの苦労したけど、200万だと思うと心躍る。
ダリアたちも、これで好きなだけ欲しいものが買える。
バンズを見ると芋が何個買えるか数えてる顔。そんなに芋、持っていけないから。
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