妖精ってやっぱり便利
宿に戻ってきてベッドにダイブ。お腹いっぱいではち切れそう。
宿の食堂では、まだ盛大に冒険者たちがパーティ中。野太い声での大合唱。結構迷惑だが、楽しそうではある。数人は、明日楽しくなさそうだけど。イーサンを見かけたので手を振ったが、変に絡まれたくなかったので、急いで部屋まで戻ってきた。
双子から聞く限り、イーサンは、あれからお酒は嗜む程度しか飲まないらしい。この世界で、お酒を切り離すのは難しい。特に冒険者には、飲みニケーションという奴がある。飲みながら情報を得る。下戸にはつらい鉄則だ。
ガーク家では、最後に少しだけショーンが挨拶にきた。遊ぶ元気はなかったみたいだけど、子供同士でお喋りを楽しんでいた。
不思議水が無事仕事をしてくれたら、そう遠くない未来にショーンも走り回って遊ぶことができるだろうと思う。
子供たちが話す姿をローザもガークも微笑ましそうに見ていた。
子供たちは、帰り際は名残惜しそうにだった。ローザにはまた来てねと言われたので、遠慮せずに訪問する予定。
「カエデ、お腹パンパンだね」
「ミラもね」
隣を見ると、ミロは既に寝ていた。早っ。
ミラも就寝。ダリアとバンズと迷いの森に出立する日を相談する。
「今の感じだと、もう2、3日後かな。明日、冒険者ギルドで賞金もらってから旅に向けて買い出しをしようか?」
「町は楽しいので大丈夫です。でも、今日は少しだけ家族と会いたくなりました」
ダリアとバンズ姉弟は、5人家族だそうだ。他に両親と兄がいるらしい。
妖精でも、ベニタイプの自生(?)している者とホブゴブリンのように繁殖する者もいるのに驚いた。そういや、ゴキちゃんズも繁殖してた。ギンに玉を準備しながら妖精について考える。
「妖精女王様は、より妖精の始祖様に近いお方です。ホブゴブリンの私たちは下層です」
「そうなんだ」
スマホに張り付いているベニが頭に浮かんでくる。妖精女王様ねぇ……。
ギンが玉に根を張り停止する。おやすみ。ギン。
ダリアとバンズは寝なくとも平気らしいが、食べ過ぎて疲れはするらしい。バンズがグデってベッドでだらけている。
「宿は今日忙しいから、お湯は持ってきてもらえそうにないね」
「大丈夫です。出せます」
ダリアが水の玉を出し、小さな火を入れると温かいお湯ができる。
「すごすぎじゃね?」
「火の魔法は得意ではないので、これくらいしかできませんが……」
「いや、十分でしょ」
お湯で顔を洗い、身体を拭く。さっぱりして気持ちいい。
さて、寝ます。
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