ギンピカ
手を繋いで走っていた服を着たゴブリン兄弟が、こちらの存在に気付く。
二匹を手招きするが、驚きと不安顔が見える。時間がないので大きな声で叫ぶ。
「服着たゴブリン! こっちこっち! 速く!」
二匹は、躊躇して完全に止まってしまう。背後からは、十数匹のゴブリンから追いかけられているのにそんな所で止まらないで!
どうしようか? こちらから向かうか? いや、できればこっちにきて欲しい。
ギンが髪をよじ登り、頭の天辺に立ちピカピカと光ったり消えたりする。
ギン、何それ。カエデちゃん、初めて見たよ。
ゴブリン兄弟が、ギンの光に気付いたようで再び走り出し、急いでこちらに向かってくる。
「ギンちゃん、何してるの?」
「ピカピカだえ~」
信号かな? ワレワレは宇宙……じゃないや。ワレワレはヨウセイだ。
「グギャアアア」
ゴブリンの雄叫びが聞こえる。
馬鹿な事を考えるのは後回しだ。このままだと、ゴブリン兄弟が背後から追いつかてしまう。
この距離なら大丈夫だろう。的は小さいが、ゴブリン兄弟に掴みかかろうとする奴に狙いを定め石の弾丸を放つ。今日は、コントロールが良い。脳天ヒット! 百点満点。
ゴブリン兄弟が困惑しながらもこちらに到着。
「私の後ろまで来て!」
コクリと頷きながら、返事をした兄弟がサッと私の背後に隠れる。どうやらアグレッシブ魔物ではないようだ。顔の表情も穏やかというか知能がちゃんとありそうだ。
さて、残りの汚い面は——
「石バンバンスペシャル」
少し前からやってみたかった、機関銃スタイルの連続発射を試す。
何発連続できるか分からなかったけど、とりあえず三十発は大丈夫だと思う。以前、賊の時も三十発までは、同時に出せた。
連続して石の弾丸が放たれ、金属音が擦れる音にゴブリンの頭、胴や脚を貫く鈍い音がトンネルに響く。反動は、構えていたより少なかったけど、それでも腕が痛い。
無事ゴブリンを殲滅。やはり、こっちのゴブリンは劣化体だね。体の大部分が弾丸の威力で吹き飛んでぐちゃぐちゃだ。
「あ! 耳!」
しまった!
急いでゴブリンの耳を集める。耳がついているのもあれば、吹き飛んでいたり千切れていたりしてるのがある。繋げば、ギルドも受理してくれるかな?
一応、全て持って帰るか。千切れた耳もゴブリン耳用と記した麻の袋に入れる。
ゴブリン耳集めに集中していたら、背後からか細い声が聞こえた。
振り向くと、ゴブリン兄弟の大きい方が声を発している。
「あの……」
「え!? 喋れるの!?」
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