討伐依頼を受ける

「「カエデ、おはよう」」

「ん。二人とも早いね」


 時刻は午前4時。 

 模擬試験から数日経った。この数日は、掃除や町中の雑用をこなして、次の昇級まで180ポイントだ。道のり長いって!

 双子は、本日からイーサンと特訓をするらしい。イーサンは、あれから冒険者の試験を再度受け、双子と同じ鉄級から新人をやり直している。


 模擬戦後から、双子のイーサンへの態度は随分と変わった。イーサンも(多分不思議水の所為で)別人になっている。マジで誰よ、あの笑顔眩しい奴。


 今日は、冒険者になって初めての討伐に向かう予定。受ける依頼は、ゴブリン狩り。


銅級 ゴブリントウバツ 一匹半銅貨【一匹ポイント3】


 森のゴブリンの目ぼしい場所は、既にガークに聞いた。

 ガークには、『お前なら大丈夫だろうが、気をつけろ』との言葉をもらった。


 討伐依頼は、養オーク場掃除と迷ったけど、ゴブリンは一匹ポイント3だ。お得勘がある。それにオークの身の回りの掃除とか勘弁。

 ユキたちもいるし、ゴブリンを相当数狩る事ができそう。予定としては、森に一泊する。

 さっさと昇級して定期的に依頼を受けなくても良いようになりたい。

 森までは、冒険者ギルドから定期便が出ているらしいので、行きはそれに乗っていく。

 冒険者ギルド前で停まっている、それらしき幌馬車の御者に声を掛ける。


「おはよう。これが、森への定期便?」

「ああ。そうだよ。銅貨一枚だよ。その大きい狼は遠慮してくれよ」

「大丈夫。ユキたちは走って行くから」

「馬車から、離れて走らせてくれ。馬が怖がってかなわん」


 御者にお金を払い、幌馬車に乗り込む。中には既に数人の冒険者が乗っていた。軽く挨拶して席に座る。その後に他の冒険者も乗ってくるが、何故か私の回りには誰も座る事をせず、目を合わせると逸らされた。

 小さな声で聞こえるのは『凶猛土下座のカエデ』。

 ああ、その名前浸透し始めた? やめて。


 馬車が出発して、門を通る。ゲオルドは今日はいないようだ。

 馬車が走り出すが、スピードは然程速くない。舗装されてない道路なので、馬車の揺れは激しく、誰もお喋りせず着くまで耐えている感じ。

 外を覗くとユキたちは、遠くからちゃんと付いてきているが、不満そうだ。

 これだったら、ユキに乗って行ったほうが良かったかな。

 


 馬車が森の前に到着。やっとで着いた。順番に馬車を降りる。馬車は歩くより短時間だけど、次回はユキに乗ってこよう。

 ユキたちの口の周りは真っ赤で、舌なめずりをしている。また、ヤマアラシもどきかな。

 森の前で定期便を待っていた、冒険者がユキたちを避けて馬車に乗る。


「帰りもこの時間と夕方前にいるから、料金は行きと同じだ」


 町に帰る冒険者を乗せた馬車が、出発する。


 さて、ゴブリン狩りだね。




 


 

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