違和感
白骨以外での人の遺体。血の匂いが充満して、遺体の損傷も激しい。
あ、ダメ。
我慢できず、胃の中の物を地面にぶちまける。
オゥエーグバァァ
折角食べた、昼食のターキーを全部吐いた。ぐっ…吐いた液体を見てまた吐く。
「ウップ。カイ、大丈夫?」
カイも絶賛七色モザイク中だ。
二人とも吐き吐きタイムが終わったので、カイに確認する。
「これは、一緒にいたパーティーの子達だよね?」
「ウエッ…はい」
鉄の嫌な匂いは充満しているけど、死臭はしない。血もまだ濡れている。やられてそう長く経っていない。
「そう時間は経ってないね。警戒を解かないで」
「魔物? 酷い…」
遺体に、違和感を感じる…遺体の損傷は激しいのに…どのパーツも全てある。魔物なら…餌のお残しはしないはず…それに男の子の方は損傷が激しいのに、女の子の方は…ほとんど外傷がない…
1、2、3…一人足りない。
ここにある遺体は、剣士の二人と魔法使いの女の子。あのシスターの子はどこ?
魔法使いの女の子の遺体を調べる。首を絞めた跡が付いている…それにズボンが脱がされている。
今までに出会った魔物はそんな事する奴は居なかった。
「カイ。もしかして、ここの魔物は…人と交わるの?」
「え…いえ…聞いたことはないです」
これは、多分、魔物じゃない。人の仕業の可能性が高い。
「ヴュー」
ユキのうなった方に行くと、引きずられた跡と争った痕跡に…無数の人の足跡。やっぱり人か。
最悪じゃん! この世界やっぱりキラーイ。
「こ、これは…」
「うん。多分…これは人の凶行」
「盗賊…」
「カイ。長くここにいても、血の臭いが獣や魔物を惹きつけるから…何か身分がわかる物や武器だけ持っていこう」
「…はい。首に冒険者タグが…あるはずです」
遺体を確認するが、冒険者タグも武器もない。今気づいたが、防具も剥ぎ取られている。
カイが、魔法使いの女の子の前で祈っている。
「エリーは、ロアーの街出身で…俺の孤児院の近くのパン屋の子で…」
ああ! もう!
土の魔石で、地面に穴を空ける。
「こう言う時、親御さんに何か身につけた物を持って帰ったりするの?」
「か、髪を」
「分かった。他の二人は?」
「ジェイクは街に恋人いて…もう一人は流れ者でよく知らないが…酒屋で良く飲んでいた」
三人から遺髪を切り、同じ場所だが…遺体を埋める。
自分流で申し訳ないが、合掌する。若いのにこんな森で命果てるのは…
「ありがとうございます」
「カイ…裏切られたのに…優しいのか…お人好しなのか」
「あ、いえ。その事は今でも悔しいです。でもまさか死ぬとか思っていなくて…」
「とりあえず..先を進もう」
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