体調管理

 キノコと見つめ合う。目がどこかわからないけど…


 フルフルフル


 キノコが小さくなって行く。なんだか虐めているような気分になったので、一旦キノコを解放。自由になったキノコは再びテーブルの端で体育座り。


 テーブルの端で小さくなったキノコを暫く観察したけど、よく分からない。なんとか意思疎通を取りたい。

 解決策がないまま、日が沈み始め辺りが暗くなって行く。

 キノコを観察しても特に変化はないので、夕食を作り始める。

 夕食は、ジャーキーとハーブのスープに生姜を入れた物だ。寒いので、暖炉もつける。

 薪に火がつくと、ユキとうどんは暖炉の前の特等席を占領する。動物ってこう言う時、遠慮しないよね。田舎で飼っていた猫もストーブの前を占領して、ちょっと焦げた事があった。ユキたちは大丈夫だろう…大丈夫よね?


 …


 不安だったので、うどんを暖炉から離す。

 小さな皿にキノコの為にスープを注ぐが…食べない…キノコって何を食べるの? 

 そういえば! 小学生の時、近所に住んでいた植物などを大好き爺さんが、キノコは木を溶かして食べるって言ってた。確かそう。

 薪用の木は…乾燥してるからダメかな? 外から折れた木の一部と落ち葉を集める。タオルを敷き、その上に木と落ち葉を置く。キノコの食事場兼ベッドだ。


「キノコ、これなら食べれる?」


 テケテケとキノコが枯葉ベッドへ歩いて、立ったまま木に根を張る。その後呼びかけたが、無反応なので…寝たのか? ここの生物は大変自由で…


 ブルルと寒気がする。

 疲れたし、喉が痛いので寝るか。


 窓には、月明かりに照らされたゴキちゃんズのシルエットが映る。今日は、住処?に帰らないのかな? 

 寒さ以外の震えを感じながら、意識を手放す。

 


▲▲▲▲▲▲


 次の朝、喉の痛さと共に目が覚める。んー。6時か。


 ゴホッゴホゴホ


 胞子か!? なんて思ったけど、ただの風邪だ。昨日の消化活動のおりに、水でずぶ濡れになったのが原因だろう。帰り道、震えが止まらなかった。

 今日は、木こり活動に少なくなって来た森で採れる食べ物集めをしようと思っていたけど…身体が怠い。無理に動くのはやめよう。不思議水で治るかな? どちらにしろ、今日は休息日にするか…ゆっくりして風邪を治そう。ファーストエイドキットに風邪薬が入ってた筈だ。今は、ベッドから出たくない。後で飲もうかな。


 ゴロリと寝返りを打つ。振り返った目の前にはキノコがいた。

 ああ…存在を忘れていた。


「ゴホッ。キノコ、いつの間にここに上がって来たの?」


 (……か……かえ……で)


 は?

 はああああああ?

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