プレゼント

 結論だけ言うと、石を投げていたゴブリンは殲滅した。

 奴らの投げる石が、無くなるのを待っていたのだけど…無限ストーン投げにイラッとして、光の魔石で全てをゴブリン炭にしてやった。

 オークの図体が大きいので、焼き尽くす事はできないが、殺す事は出来た。焼くと香ばしい匂いがする。もしかして、これも食べられ



 所々焦げているオークが、こちらに大股を開けて倒れているのが目に入る。死ぬ瞬間まで一体何に興奮していたの? 私はあんなの食べないからね! 一瞬でも食べてもいいかなと思った事を後悔して、頭からかき消す。

 オークの魔石を回収する。おお。熱を加えても魔石は無事なんだね。この石って結構丈夫なんだね。


「キャウウン」

「はいはい。ほら、キャッチして」


 オークの魔石を催促するうどんに、魔石を投げる。パクッとオークの魔石を咥え、ボリボリと噛み砕くうどん。魔石もうどん達の歯には敵わないらしい…

 ユキとうどんは、半焼けのオークに貪り付いていた。バラバラにされていくオークを眺め、彼らの食事が終わるのを待つ。

 食事が終わったのか、舌なめずりをして二匹が戻ってくる。水を飲んでね。口臭で私を舐めるのナシだから。

 うどんがオークから、誇らしげに何かを持ってくる。ぺっと吐き出したのは、血と粘ついたゼラチンのような汁に、うどんの涎がついた、オークの睾丸だった。


 どうだ! 欲しいだろ! あげるぜ! 褒めて! と、うどんがこちらをキラキラした顔をして見ている。


 いや、普通にいらんわ…


 やめて…

 キラキラした顔で、睾丸を受け取るまで待つうどんが憎い。


「あ、ありがとう…」


ビニール袋越しに睾丸を拾いあげる。あれだね。犬の散歩で糞を拾う気分だ。

 嬉しいのか? うどんの顔がパァァっと明るくなる。かわいい…


 袋に入った睾丸は、可愛くないけど…


その後、夕食をとり、ログハウスに入る。夜の冷え込みが厳しくなってきた。ユキ達にもログハウスに入ってもらおう。モフモフで私を温めて!

 自分が持っていた服と部長の叔父さんが、ログハウスに置いていた厚手の服を重ね着して、暖炉に火を灯す。初めて暖炉を使う。暖炉と言ってもしっかりしたのじゃない。オシャレ重視のような暖炉だ。それでも、火がつくとログハウスの中は暖かくなる。ユキ達の隣に座り、お湯を飲みながら、ゆらゆらと揺れる火を眺めていたらいつの間にか寝ていた。

 ふと、夜中に目が覚める。火は消えそうだが、身体は暖かい。そうか…ユキは私の背中に尻をつけ、うどんは私のお腹で包まっている。二匹の暖かさが嬉しい。うどんの柔らかい毛を撫でていたら、またいつに何か眠りについていた。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る