胡桃
9月も下旬に差し掛かった。
ここの夏はそれ程暑くなかった。秋に差し掛かり、夜は随分と冷え込むようになった。早い秋の訪れに、余計冬が怖くなってきた。
カボチャは7月頃に花が咲いたので、手順に従い人工授粉した。ここからが長かった。収穫は9月頭に済ませたが、旨みを増す為に今は部屋に保管している。まだ食べごろではないようだ。日本にいる頃は、カボチャは時期が来ればその辺のスーパーにゴロゴロとあったから、特に何も思わなかったけど…自分で育てると苦労がわかる。どうか私に美味しいのを食べさせてくださいと部屋の収穫したカボチャに向かって手を合わせる。
トマトは残念ながら、再挑戦した分も実らず…生姜はいつまでも大きくならないから死んだと思ったが、気がついたらちゃんと生えていた。収穫出来ていないが…来月くらいには出来るかな? 苦瓜は夏の間にアホみたいに大きくなってログハウスの上まで蔓を伸ばした。実も沢山とれたのだが…その名の如し苦いのだ。下処理に時間がかかるが、一度下処理をすれば普通に食べれた。二週間ほど毎日苦瓜を食べたら、苦瓜が夢にまで出てくるようになった。
今日は、以前から目をつけていた胡桃が遂に収穫できそうだ。実が割れて地面に落ちている。中には見覚えのある胡桃が入っている。落ちているのを全て集める。実の皮を剥き中身をとる。あれ? 何これ? 手に凄い色がつく。こんなに渋みがあるの? 手袋をはめて再度作業をする。
落ちている胡桃は全て回収したので、今度は胡桃の木をペシペシと長い棒で叩いて実を落として中身を取り出す。
一応味見をしたほうがいいよね…採れたての胡桃を割り中身を食べる。意外といけるんじゃない? 渋くもないし、クリーミーでほんのり甘い感じがする。いいね。いいね。
袋いっぱいの胡桃を採取した所でログハウスに戻り水洗いをして干す。正直どれくらい干せばいいか分からない。とりあえず二週間くらい干して食べてみるか。
今、ログハウスの中は干し肉、干しフルーツに木の実やらの食べ物と薪で埋まっている。8月は雨が多かったので、薪はログハウスの中に移したのだ。
木こり作業は風の魔法の杖で随分と楽になった。その分、量が増えて置き場所に困った。炭もきちんと準備しているが…冬の長さが分からないので不安だ。
もう一つの不安要素は、ユキとうどんの食事だ。今月の頭からユキ達の食事の量が恐ろしく増えた。ユキなんてオークを一匹をペロリと食べる。兎は今でも定期的に罠に掛かるが、冬の間はどうだろう? オーク達は冬眠するのかな?
実は数日前に猪を見かけたのだ。どうにかして猪を狩りたい。この時期の動物は食べ物を貯めているのか、兎も猪もムチムチに太っているのだ。
そうだ。猪狩りをしよう!
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