水は重要

「グエェゴフォゴフォ」


 何この水。

 苦しい息ができない。

 やめて止めて!!


「ゴフォ。はぁはぁ。止まった…」


 何だ今の水? どこから出て来たの? 鼻にも水が入ったので、喉が痛い。酔いは一気に覚める。

 全身が濡れてビショビショだ。階段や地面も水浸しになっている。酒を飲みすぎ…な訳ないよね。この石から水が出て来たよね。ログハウスの中じゃ無くてよかったよ。

 石を調べるがよく分からない。押してみたり叩いてみたりしても何も出ない。さっきはどうやって水を出したっけ? 確か水をかぶりたいって思ったんだったっけ?

 水が飲みたいと念じる。

 ジャーと石から水から出る。

 何これ。ああ、また止まらない。止めて止めて。

 水が止まる…

 ええええ。魔石ってこんな風に使うの?これって永遠に水が出るの?


「ははははははははは。勝った。勝ったぞ」


 側から見たら、頭がおかしくなったかと思われるだろう高笑いと小躍りをした。これで水問題が無くなる。あれ、私泣いてるの? 頬を伝う涙を拭う。水問題ストレスは、思った以上に私のメンタルにキていた。この石からどれくらいの水が出るか分からないけど、永遠じゃないなら補充出来るはずだよね? そう期待しておこう。

 とりあえず服を着替えて、石を枕の横に置いて寝た。


 ここに来て一週間が経った。未だに、がどこかわからない。しかし! 今日の私は気分がいい。今日は今まで出来なかった洗濯をする。バケツにタンクから水を入れて洗剤を混ぜ服を手洗いする。


 グー


 洗濯だけで昼まで掛かった。お腹すいた。洗濯機の偉大さを考えながら昼はアルファ米と鯖缶を食べる。

 次の問題は食べ物だ。今、あるものは三食せずに細々と食べれば、二週間はもつだろうか?

 昼からはクロスボウと短剣の練習をして、フルーツを採取する。兎は残念ながらいなかった。兎以外にも食べれるものを探さないと。

 サバイバル本に小さい動物への罠の仕掛け方が書いてあった。大工用具にワイヤーが入ってたので罠を作る。罠は、ワイヤーのワッカなのだがすごく簡単に出来た。これで本当に獲物が掛かるの? 半信半疑で膜の外に罠を数カ所設置する。

 水が後どれくらい出てくるのか分からないが、検証に為….と言うよりもう我慢できないのです! お風呂に一週間も入ってないとか…汗もかいてるのし頭も痒い。

 タンクからドラム缶風呂に水を入れるのは重労働なので、石から直接風呂に水を入れる。ドラム缶風呂って中に板があるんだね。五右衛門風呂と同じだね。そりゃそうだよね。なかったらボイルされた楓さんの出来上がりだよね。

 …さっ。水を沸かしていこう。ドラム缶半分の100Lくらい水を入れて置いてあった薪を使い火をつける。三十分待つがまだぬるい。火の勢いが足りなかったかな? もう少し火力を上げる。五十分ほどでちょうどいい感じの温度になったので、火力を下げる。外だけど…どうせいるのゴブリンでしょ? みたきゃ見ればいい。服をヌギヌギする。



ザブン


 頭からお湯を掛ける。

 あああ。

 お湯って素晴らしいね。頭と身体を丁寧に洗う。使ったタオルが黒く汚れる。頭は一回のシャンプーでは泡立たなかったので、二回洗う。綺麗になった所で湯に浸かる。


「はぁ。溶けそう」


 湯が少し冷めて来た所で風呂から上がる。あれ? 肌が凄く綺麗なんだけど? モチモチしてるし、色々な擦り傷が消えてる。髪もサラサラだ。あの石の水って湖の水なのか? じゃあ補充できる可能性高いよね。

 あ。ドライヤーがないのか~。このまま寝ると風邪を引きそうなので、出来るだけ髪をタオルで乾かしてカップ麺を食べてベッドに入った。

 こんな所で風邪ひいたら、絶対死亡コースだろうな。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る