第135話 魔王の第二の能力

「え? そうなの? たまに居ないと思ったらあの子たち普段そんなことしてたんだ......それじゃあ......」

 リナちゃんは本のようなものを取り出した。

「リナちゃん......これは?」

「えーと、説明書......みたいなものだったかな? これにルールを書くとこの世界のルールになるの。例えば......『魔王ことリナはスマホを持っていた』と」

 リナちゃんは口で言いながらその本に書いていった。するとどこからともなくスマホが現れてリナちゃんの手の上に落ちてきた。

「こんな感じにね......あ、スレ炎上してる! 私も早く書きこまねば!」

 リナちゃんは本をそっちのけでスマホに文字を入力し始めた。

 私の能力も大概チートだと思ってたけどやっぱり魔王だけあって私以上のチート持ちかもしれない......

「あの......リナちゃん、それでその本を使って何かしようとしていたんだよね?」

 私はリナちゃんが何をしようとしていたか忘れる前に忠告した。

「あ、そうだった......『魔王軍は人間を襲わずいいやつになる』と。これで大丈夫だよ」

 リナちゃんは私たちに本に書いたところ見せてくれた。

「ふっ......あんたまさか魔王すら倒さずに世界を救ってくれるなんてな。あんたこそまさに本物の勇者にふさわしいぜ」

 ガリアはグッジョブサインをしながら私に白い歯を見せた。

「ちょっと待つんだ......本当に魔王軍たちは大人しくなったのかい? 私は自分の目で見ないと納得できないよ!」

 ユウはどうやらリナちゃんの言葉を信用していないようだ。

「じゃあ見てきたら?」

 リナちゃんは私たちが来た方向を指差した。

「分った......私が見てくるからみんなは魔王を見張ってて!」

 そう言ってユウは駆け足で外へ向かった。

「別に嘘なんかついてないんだけどなぁ」

「いやいや、リナちゃん......ユウの気持ちも分らないこともないよ。こんなに物分かりのいい魔王は普通のRPGとかだと居ないからね」

「いやいや、マコトちゃん。魔王って勇者の攻められるとすぐに従順になるものじゃない?」

 どうやらリナちゃんに普通のRPGの常識は通じないようだ。

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