第81話 匂い
「か、か、か、か、母さん! 何言ってるの!? 僕に何を頑張れと言っているの!?」
「そりゃあもちろん子作.......」
「わー! わー! い、言わなくていいよ!」
「カーミラが聞いたんじゃない......」
うん。今日もこの2人は仲良し親子だね。
私は暖かい目で2人のやりとりを眺めていた。
「母さん、そんなことよりアヤナさんはいるかな?」
「客間にいると思うけど......」
「分った。それじゃあマコトさん、行きましょう」
私はカーミラに手を引かれカーミラの母の横を通り過ぎる。
客間につくとソファーの上にアヤナが寝そべっていた。
......お腹を出しながら。
「ちょっと! アヤナさんはしたないじゃないですか!? 男の人もいるんですから」
服を整えながらカーミラはアヤナを起こそうとしていた。
男......ああ、私のことか。正直前にも同じよなことがあったし、そもそも私も女だから女の子がお腹を出していてもだらしないなくらいにしか思わないけど。
「......マコトさん、ついでにカーミラもおかえり」
アヤナは眠そうに目をこすりながら起きたようだ。
カーミラの家なのにカーミラは「ついでに」なのか......
「おはようございます、アヤナさん。僕たちは今からもう一度チカちゃんを探しに行きます。遅くなるかもしれないので今日は帰れないかもしれないとお伝えに来ました」
カーミラはボーっとしているアヤナに説明をした。
「くんくん」
「ちょっ! アヤナさん!?」
アヤナは突然カーミラのことを嗅ぎだしたので、カーミラは一歩後ろに引いた。
「新しい女の匂いがする......マコトさんも匂わせてください!」
「嫌に決まって.......」
私が返事する前にアヤナに服を掴まれた匂いを嗅がれた。
「マコトさんからも新しい女の匂いがする!」
この子の嗅覚はどうなっているんだろうか。
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