ドライアドを便利に使う
オレの本体はあくまでも
ここにある
なので、離れれば離れるほど
試してみたが、マイワールドの端から目測で2キロメートルくらいで、届かなくなり操れなくなる。
では、マイワールドから歩いて3日も離れているカーキ=ツバタ王国で何故普通に操れているのか。
答えは簡単、本体を持ってくれば良い。
普段はマイワールド拡大の為に、地道に東南北方向に森を拡げているのだが、それを止めて4日かけて両地をつなぐ街道──ほとんどけもの道だったが──沿いに地下茎を伸ばしていたのだ。
そして地下茎から目立たない感じの花を街道沿いに咲かせる。それが
「ここに歩いて来るまでに、さらに城壁に沿って地下茎を伸ばしている。だから今のところ城壁内なら大丈夫だよ」
西から伸ばした地下茎は、さらに2分割して南北に伸ばしている。出来れば全体を囲いたいが、しばらくかかるだろう。
「よしならば、
問題点とは
・地底の民であるカイマが何故飛んできたか
・日の光が苦手なら何故昼前にやってきたのか
・違う種族がいるのなら苦手なら地上より地底の別種族を狙わないのか
・カイマらが来られないこの地に造られたのに、何故ここに来たのか
である。
3人でのディスカッションがはじまった。
「カイマが飛ぶのは問題ではないな。コウモリ獣人との子なんだろう」
コウモリ獣人は洞窟に住み夕方から夜に動き回るが、彼等も地上の住人である。たぶん何代か前に襲われたのだろう。
「昼前に来た理由と
「それは」
「カイマは少なくとも400年は続いている種族で、数百体はいるんだ。ということは他のダークボトムズも、その生態を熟知とまでも言わなくても、よくは知っているだろう」
「でしょうね」
モーリが頷く。
「ユーリ、確認したいんだが、カイマの繁殖期ってのはどのくらいの期間なんだ」
「だいたいだが、1年くらい続くようだ」
「発情期が1年続く事に驚きだが、逆に言えば他の99年は普通の状態なんだろう。でなければ種族の安全の為に、他のヤツ等に根絶やしにされている筈だ」
「で、結論は」
「他の種族に隔離されているんじゃないかな」
「隔離?」
「自分たちか、もしくは他の種族によって地下洞穴の入り口、向こうから見たら出口に繁殖期になると隔離されて、地下の社会に入れなくする」
「発情すると、戻ろうとするが帰れない。しょうがないから夜になって地上の種族を襲う、か。考えとしては悪くないな」
「それなら、他の種族と折り合いがつくんじゃないかな」
「ならば、もともとカイマ達は地下洞穴の端に村があって、奥の連中との間に関所みたいなものがあると考えられるな」
「まあそれ以上はやめておこう。証拠も無い想像だからな。となるとやはり、昼日中、どうやって、ここへ、来たのかだな」
牢屋番が食器を下げにやって来たので、いったん会話を止めた。
もう一人の女はどうしたと訊かれるかと思ったが、何も言わず下がっていった。変だな。
──ああそうか、そういう事ね。なら遠慮無しに話すか。
「ユーリ、モーリ、[大地の嘲笑い]からここまでは、どのくらいかかるんだ」
「人の足で歩くなら4日くらいですね」
「カイマの足なら、一昼夜というところかな。ヤツ等は女とその場で交わる事はしない、拐ってナワバリに戻ってからなのは、ずっと変わらないな」
「オレ達にとって水の中みたいなもんだろうな。だからとりあえず拐うのか。しかし飛んだ方が早いとはいえ、そんなところから日の下をやってくるとは考えづらいな」
そう思って考えが煮詰まっているところにアディが戻ってきた。
「ただいま。ひと通り見てきたわよ。繋ぐ?」
オレは勿論だとこたえると、ユーリの額を手の平でおおった。
「何しているんです」
「アディの見てきた事を、オレの頭の中に見せる事が出来るんだよ。それをオレがユーリに見せれるんだ。モーリも見てみるかい」
何を言っているか分からないけど、やってみますと頭を差し出した。好奇心が強い人だな。
オレはモーリの額を手に平でおおうと、アディの額とオレの額をくっつけた。
アディの見た映像が流れ込んでくる。それを身体を通してユーリとモーリの頭に流す。
「うわ! な、なんだこれ、頭の中に、ふ、風景がみえる!!」
モーリの驚きに、オレはくすりと笑う。ユーリも、はじめてやった時こんな風だったな。
映像は最初真っ暗だったが、突然空の風景に変わった。城の壁をすり抜けて外に出たのか。
そこから斜め下を見ながらゆっくり1回転する。カーキ=ツバタ王国の全体がわかる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます