77話 ストレージの中身とちょっと休憩
泉の中に潜ると投げ込んだ物がそのまま底にあるので今剣だけ回収。浮き上がると、マツが殴りまくっているけど攻撃が通り抜けている光景が目に入った。どういう仕組みだろ?
{怪しいローブ迎えに行った}
ネアからメッセージが来ていた。あいつは敵じゃなかったんか……
「マツ、ストップ!」
「えー」
ガキか、お前は。……戦闘狂だったわ。
「それで、君は魔王城に案内してくれるんだね?」
「そうさ、フェッフェッフェッ」
笑い方凄いな。
「なら案内してほしい」
「着いて来んさい」
2名様ご案内! 俺たちが案内される側だけど。
「さっきの森は何だったのかな?」
「あの森は魔王国の果物畑さね」
「すごい木が生えてたけど?」
「あれは幻術さね」
「泉の女神も?」
「この体もさね」
見事に幻術に踊らされてたってことか。
「あそこに入るのは業者か盗人か転移系で来た奴だけさね」
俺たちは転移系で来た奴らか。
「最近他にも来てたらしいけど?」
「盗人さね」
マツを襲った旅人は盗人だったのか……。どんどん顔も知らない人の株が転落してってる。可哀想に。
「ここからはこの馬車に乗るさね」
「分かったよ」
「ご主人様、お手を」
今までずっと黙って服に加工してたマツが俺の手を取って馬車に乗せる。気遣いえらい。
馬車に揺られながらストレージの整理をしよう。かなり放置しっぱなしだったからな。
[有命の折り紙]、[キャシーちゃんの果物ナイフ]、[
2つほど完全に忘れてた物があったな。折り紙は使い所がわからん上にあと20枚ぐらいしかないからもったいない精神が出てきちゃう。
占事略决に関しては現実で調べたまま放置してたな。安倍晴明の陰陽道関連だし、妖力持ちのマツに渡した方がいいかもなー。……色々試してからにしよう。俺も使えるかもだし。
武器は……
「グラムくん…………」
イベントフィールドに置きっぱだ。もったいないことをした。
お面と外套は装備中で、服はマツが何か縫っている。そろそろ服ないと風邪ひいちゃうぞ。
今は履いてないけど、初期装備のおまけの下着は馬車の中で干してある。下着は体から分けれないやつにしないと色々危ないと思うんだがねー。
…………長いな。現実の方に戻って一旦トイレ休憩にしよう。
「ちょっと休憩してくる」
「ごゆっくり」
ログアウトボタン、ポチッとな。
そういえば姉さんの友達が来てるんだった。リビングは行かずにトイレだけして戻るかー。
ガチャ
「「あ」」
トイレから出てきたお友達さんと鉢合わせした。何これ、気まずっ。
「あ、えーと、君もあのゲームやってるんだよね?」
「そうっすね」
「凛とも遊んであげてね。あの子、ちょっと寂しそうにしてるから」
会おう会おうのまま会ってなかったからか。確かに会いたいけど、現在地が分からんからなー。
「わかりました」
こんな返事しか出来ないな。
「そうだ。よかったら一緒に百人一首やらない? 二人だけだと面白くないの」
「いいですね。トイレ行ってから行くので待っててください」
「ありがと」
馬車の中ではやることが無いし、暇つぶしにはちょうどいい。面倒見がいいことは察していたけど、友達の弟にまで気をつかうとか配慮の鬼かよ。
たぶん到着には時間かかるだろうし、ゆっくり休むとしよう。
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