40話 魅了と方針

さっきの魔族さんと会った平原に戻って来た。ちゃんと門は【壁歩き】で越えた。


「やあ、ずっと眺めてたのかい?」


「まぁね、それで、どうだったの?」


「順調だけど、早速君に手伝って欲しくてね」



「あら、何をすればいいの?」


「なんか魅了とかできるよね?」


 サキュバスっぽいし。


「……まぁ、できるわね」


「とある人物を魅了して欲しいんだけどいいかい?」


「それくらいならお易い御用ね」


「じゃあ町に入るからマントとか着てくれない?」


「わかったわ」


 外套を着たのを確認してから町に向い、そのまま教えてもらった大司教の家に行く。






 到着。想像してたのと違って庶民っぽい普通の家だ。あのおっさんどもと敵対? してるから、きっとまともな聖職者なんだろう。


「窓から入りたいんだけど、着いてこれる?」


「なんなら私が連れて行けるわよ」


「じゃあ任せたよ」


 羽を出して俺を抱えて窓に寄る。


「【解錠】」


 なんかのスキルを使ったようだ。




 そのまま侵入する。どうやらこの家の主は目の前のベッドで寝ているようだ。


「この人を魅了して欲しいな」


「わかったわ」


 ベッドに向かって、寝てる人に往復ビンタをしだした。起こすためかな? 金髪の美人さんがその豊かな胸を揺らしながら起き上がる。



「…………ぐっ、何が……」


「あなたの名前は?」


「ヴィエルジュと申します」


「あってるかしら?」


 こんなすぐに魅了できるのかよ。スキルの発声をしてないところから、もしかしなくてもパッシブなんだろう。兎に角、


「合ってるよ」


 さっき聞いた名前と一致した。


「とりあえず情報をありったけ引き出そうか」


「そういうのは私得意よ」


 確かに得意そうだな。魅了したら拷問する必要なく簡単に吐くからな。


「まずは聖剣についてだね」

「聖剣について知ってることを全て話して頂戴」


 間に挟むの地味にめんどくさいな。



「聖剣エクスカリバーは教会の大聖堂の石に刺さっており、勇者のみがこれを抜くことができると言われております」


 あるあるだ。


「破壊はどうすれば可能なの?」


「分かりませんが、刀身が石に埋まっておりますので不可能かと愚考します」



 目をハートにしながら真面目な話するの、シュールすぎる。



「なら勇者たちが来てから破壊をしよっか」


「どうやって?」


「待ち伏せが一番良いんじゃないかな? こう、聖剣を抜いた瞬間に襲いかかって奪ってから破壊する感じで」


「……誰がやるの?」


「ボクはやらないよ? そこまで聖剣の重要度は高くないからね」

 

「確かに私がやるのが順当かしら」


「この人を勇者たちの背後に回らせて退路を絶つといいかもね」


「そうするわ」



 この流れなら、俺がやるのは……奇襲の手伝いは、特にやることも無さそう。おっさん共の手伝いはメリットが無い。あとできそうなのは………火事場泥棒的な? いい所だけ持ってく感じでいこう。そうしよう。


 とりあえず教会に戻ってお宝がありそうな場所を探しがてらおっさん共に会いに行こう。


「じゃあ、勇者関連は任せたよ」


「ええ」





 無いな。宝物庫的なのが見当たらない。もしかしたら別の倉庫とかにあるのかもしれない。また他を探してみよう。その前に、おっさんどもの部屋にまた窓から侵入。




「やぁ、こっちは上手くいったけど、そっちはどうだい?」



「! これはこれは……こちらも順調に進んでおります」




「そっか、なら次は教皇を何とかした方がいいかもね」


「教皇、ですか?」


「そうだよ、今回の作戦でかなり邪魔になると思うんだよ」



 立場的には枢機卿より上だし。



「……承知しました。何とかしてみせましょう」


「ちょうど3人揃ってるし、力を授けるよ」


「おぉ、ありがとうございます」


「ありがとうございます」


「よろしくお願いします」


「【深化】1%」


 全員の心臓辺りにかける。人間だから抑え目に。今気づいたけど、他人にかけるとアナウンスが無いようだ。もしかしたらかけられてる人にアナウンスがいくのかも。



 これでよし。



 さて、お宝探しに行きますか!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る