after story 3

1



あれから20分程経った頃だろうか、未だ病院の待合室にいた私たちの前に現れたのは、彼の叔父さん……理事長だった。


彼は私たちに目を向けると二度頷いてから、私へ視線を移した。




「こんなところにまで付いてきてくれるような友達が、あの子には3人もいるんだねぇ………………友達、でよろしかったかな?」


「友達です。女装で騙されてましたけど」


「それならよかった」




恐らく、理事長の頭にもきっと一瞬浮かんだことだろう。


『ハーレム』だかなんだか。




鞠が私の方を向いて首を傾げるから、「理事長だよ。佐藤の叔父さん」と、私は説明する。




「悪かったねぇ、こんな所まで付き合わせてしまって。送っていくよ」


「いえ、送迎車があるので大丈夫なんですが……佐藤は大丈夫ですか?」


「いやぁ、今日はもう人前に出られるような顔じゃなくなってるからねぇ。また後日相手してやってくれないかい?」




妹さんと、きっと積もる話もあるんだろう。


そう思って理事長に私は頷いたけれど、隣にいた緑がなぜか鞄の中をゴソゴソと探り出した。




「理事長、すみませんがこのポーチを佐藤に渡して頂けませんか?」


「これは……」




緑は呆れた顔で首を掻きながら、ポツリと言う。




「メイク落としと、スキンケア化粧品一式です」




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