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ようやく落ち着いてきた佐藤に、これからどうするのか?と問う。
「とりあえず蜜の様子見に病院には行きたいけど……」と、そこまで口にした佐藤の言葉が途切れる。
どうした?とその顔を覗き込めば、今度は佐藤がじっ……と私を見詰めてきた。
「あ、の……逃げないように、背中押しててほしい」
「逃げないように?」
「…………病院、付いてきて……ほしい」
ビビり腰の佐藤が、ちょっと申し訳ないけど、珍しくて。
じっと私も見とれていると、緑が「よし、任せろ」なんて堂々とした態度で言う。
ということは?
「え、みどりんも来る……?」
「和香だけじゃヒョロくて逃げられちゃうでしょう?」
「背中押すって物理的な方なの……??」
「え!じゃあマリも!マリもいく!!」
キラキラとした瞳を向けてくる鞠に、苦笑いする佐藤が一歩足を引く。
鞠の頭の中ではきっと、押し相撲するような私たちの姿が繰り広げられていることだろう。
そんな鞠の精神年齢は一体いくつなんだ?
「待合室とかまででいいし……終わったら返ってくれてもいい、けど……え、みどりんたちも本当に来てくれるの?」
いつの間にやら佐藤に握られていた手は、ふるふると少し、震えている。
今度は何に脅えているのか……私たちに迷惑かけるとでも、まだ思っているのだろうか。
「行くでしょマリモ?」
「行く!!……でも妹ちゃんとご対面は我慢する……」
「よし、偉い」
「うへへ」
緑は人の扱いが上手いよなぁとしみじみと思った。
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