第62話

「やっと数が減ってきたな。ほんとに数だけは凄かったな」


これだけの長い時間ずっと戦い続けたのは初めてだ。

それでもほぼ突っ立ったまま魔法を使ってただけだったから、そこまで疲れてないけど。


「俺は問題なかってけど。ほかの地点にもこれだけの数のグラトニーが襲ってきてたとしたら…大丈夫かな?フェムトから念話が無いから妻たちは無事なんだろうけど」


被害がゼロと言うのは有り得ないけど。

あまりに状況が悪い場合も念話をするって決まってるし、想定の範囲内には落ち着いているんだろう。


それに数が少なくなってきたと言ってもまだ、秒間数百匹ペースでグラトニーは裂け目から溢れて来ている。よっぽどのことが起きない限りこの場所から移動することはできない。


(グラトニーは、ほぼほぼコウに群がってるから。コウがそこから動かないって言うのが1番被害が抑えられるよ。実際そこ以外では事後処理が始まってる場所もあるし)


どうやら、グラトニーは俺のところに群がって他の場所はここに比べたら大した数じゃ無かったらしい。

と言ってもカナデさんの作ったグラトニー用の兵器があってギリギリ防衛に成功したって感じらしいけど。

まぁ、生きてるなら問題ない。


それにしてもグラトニーからしたら俺は極上のスイーツ的な存在らしい。


食べ物扱いされるのは気に食わないけど、そのおかげで被害を抑えることが出来てるんだし。結果オーライ?


(なら大人しくここでグラトニーを倒していることにするよ。それで、いつになったらこっちから殴り込みに行くの?)



グラトニーの数は少なくなってきてるし、そろそろこっちから殴り込みに行っても問題ないんじゃないか。と思いフェムトに準備はまだ終わらないのかと確認する。


(もう1時間ぐらい?)


(了解。大人しくここで待ってるよ)


声の感じから結構忙しそうなので余計な話をせずに念話を終了させる。


「それじゃ、フェムトが迎えに来るまで裂け目から出て来たグラトニーを倒す作業に戻るか」


勢いが治まってきていた。グラトニーの放出の勢いが戻り始めていたので、気合いを入れ直し、グラトニー数を減らすことに専念する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「やっと準備が終わったよ。コウ今回は予め精霊刀を収納魔法から取り出しておいて」


ピッタリ1時間後にフェムトが迎えに来る。

今回は予め武器を持っておいてと言われる。

収納魔法から取り出すだけだから今じゃなくても大丈夫だし。そもそも魔法主体だから武器を使わない可能性もあるのに…


それでもフェムトがわざわざ言うってことはなにか理由が有るんだろう。分かりやすいのはグラトニーの親玉は魔法無効スキルを持ってるとか、グラトニーの親玉がいる空間は魔法が使えないとかそんなところか。


言われた通りに精霊刀を収納魔法から取り出す。


「これで準備完了だね。じゃあ早速親玉のところに殴り込みに行こうか」


2人で?フィア 、イスカ、ハジメくんも参加するって話じゃなかかった?

特に神を大量に取り込んでいる関係上。

ハジメくんの聖剣に付与されている神殺しが普通の神より効くって話じゃなかった?


「それよりも僕とコウ2人の方が確実ってことになったから予定変更。さっさと転移するよ」


なんか焦ってる?フェムトに手を掴まれ転移魔法が発動する。

もしかして今いるフェムトは偽物で俺を罠に嵌めようとしてる?


いや、普通に考えてフェムト本人にバレないように偽物が活動するなんて無理だろう。


「これで戦う手筈は整った。今この空間は権能、スキル、魔法全部使えない。敵を取り込んで強力な権能でゴリ押しすることしか知らない相手にはこれが一番確実だと思ってね」


フェムトが焦ってたのは、相手にこの空間の対策をされる前に倒したかったからか。

それにしてもその言葉は俺にも当てはまるんだよな~。


それと壁に頭をガンガンぶつけているのが親玉だよね?

想定外の事態で頭おかしくなった?

まぁ今まで使っていた能力が使いないってなったらああなるのも分からなくもないと思っていたら、奇声を上げながらノーモーションんでこちらに攻撃してきた。

ステータス任せのゴリ押し攻撃だな。


ステータスは俺より高いんだろうけどそんなバカみたいに率直な攻撃、簡単に良けれる。


近接戦闘の才能は全体的に普通って言われてるけど。

フェムトを筆頭に鬼畜な神獣たちに鍛えられてるからな。

このぐらいはできる。

最も今のシーン、フィアなら避けるだけじゃなくてカウンターをくらわせるぐらいできそうだけど。


「君の敵はコウだけじゃないんだよ?」


俺自身がカウンターで攻撃することは出来なかったけど、フェムトがグラトニーの親玉に攻撃する。

その攻撃はグラトニーの左手を切り落とすことに成功する。


「ねぇ、左手再生してるよ?スキルとか使えないんじゃなかったのこの空間」


フェムトが切り落とした左手が権能もスキルも魔法も使えないはずの空間で再生した。

もしかしてもうこの空間に対応してきたとか?


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集団転移に巻き込まれました、当然チートスキルは無しです。神様がお詫びに種族を変えてくれたけどこっちの方がチートじゃないですか? 塩分過太郎 @rinyo89340141

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