第55話

「まあ、フランに必要なことって言うなら、仕方ないか…。フランが魔法を使う練習をしているのは良いとしてなんでこんなに水の精霊が集合してるの?」


まだ2歳にもなっていないフランが魔法の練習をしていたので、どうして?と理由を聞いて魔法の練習をさせていたことについては納得したけど。

やけに水の精霊の数が多い。それと何故かすごいテンションが高い。


「あ〜それはコウの子供だからね。やっぱり水の精霊からしたら特別なんだよ」


そういう事か精霊王の娘なんだから水の精霊達からしたら特別なのは当たり前か。


「なるほどね。それにしたって俺の周りには全然寄ってこないけど。それはどうして?」


俺の周りにはあんなに水の精霊がよってきたりしない。呼べばいっぱい集まってくるけど。


「まぁ、コウの場合ディアーネが側近のようなものだし。今、フランちゃんによってきているのは、将来側近に取り立てて欲しい精霊達だね」



なるほど?俺はディアーネさんを側近にしたつもりは無かったけど。水に精霊からしたら

そう判断されていると。まぁ、誰を側近にするかと聞かれたらディアーネさんにお願いするけど。有能だし。


「精霊王の娘それも長女の側近に慣れれば、かなりの発言力を持つことになる。それを狙ってってことだね」


精霊ってそう言うのあんまり気にしないと思ってたんだけど、意外とそうじゃないんだな。


「昔からの上位精霊はそんなに気にしてないよ。わざわざ発言力何て必要としてないし」


そう言われてみるとフランの周りにいるのは下位か中位の水の精霊達だな。

そもそも上位精霊は自分のナワバリから出て来ることは無いし、フランの周りにいないことに疑問に思わなかったけど。

そう言う理由もあるのか。


「なるほどね〜まぁ、フランならそう言う目的で近づいて来てるって気づいてるだろうし。問題ないかな。それより後の子たちの時に気をつけないとか」


フランは転生者でも有るから、下心ありで精霊たちが近づいて来ているのは理解しているだろう。


「そんなことより、フェムト様とコウ様にその現場を見られていることに危機感を持たない時点でダメだと私は思いますけどね。私だったらもっと上手く取り入ろうとします」


いつの間にか現れたディアーネさんがそう言った。

たしかに今、フランに群がっている連中を信用なんてしないけど。


「ディアーネさんはそう言うの興味無さそうだけど。たしかに器用に取り入ったりしそうだよね」


「そうでもないですよ?権力者の近くにいた方が色んな食材が楽に手に入りますし権力者に取り込むのは基本ですよ?実際、私はしれっとコウ様の側近ポジションに落ち着いていますし」


ああ、そう言うね。たしかにそうだね。


「まぁ、僕も見ているしなにかしようとする奴がいたら僕が締めておくよ」


「フェムトなら安心かな。まぁ、フランも魔法を使いたがってたし、程々にね」


最近フランは魔法を使いたがってうずうずしていたし、ここでダメと言ったらフランに何を言われるか分かったもんじゃない。

「お父さん大っ嫌い」なんて言われたらもう立ち直れない。

ほんとに危ないことやダメなことをしているなら嫌われようがとめるけど、フェムトが必要だって言ってる事だし。ちゃんと安全マージンは取られているはずだ。


「まぁ、僕だけじゃなくてティアナや神獣達も目を光らせてるから何かが起きることは無いよ」


なんと言うか過剰戦力…。

精霊神から神獣までフランにゾッコンなんだよな。

勿論、琥珀にも…。

正直、俺より過保護じゃないか?って時もあるし。


フェムトにティアナさん神獣たちが教えてるなら俺がここにいる必要は無いしフランに挨拶をしてここを離れよう。


「フラン魔法の練習順調そうだね」


俺がフランに近づいて声をかけると、フランの周りにいた水の精霊たちは蜘蛛の子を散らすようように逃げていった。

ここで俺にも話をかけて来るぐらい度胸のいる奴がいれば、ちょっとぐらい優遇してあげようかなって思ったんだけど。

そんなに度胸のあるやつはいなかったみたいだ。ちょっと残念。


「あっお父さん!見てみて」


フランが水球を自由に動かしているのを見せてくる。


「練習し始めたばっかりなんでしょ?すごいね!」


今日が初めての練習なのかは分からないけど

練習を初めて数回しか経ってないはず。

それなのに水球を自由に動かせるのは中々才能がある。


「けど。魔物を倒しに行こうとしちゃダメだからね?」


魔法の練習を始めたら魔物を倒してレベルアップしたいとか言い出しそうだからな。

フランも結構ファンタジー好きだったみたいだし。

可能性はあると思ってる。


「ソンナコトハナイヨ?」


確実に考えてたな。

まぁ、わからなくはないけど。


「せめて5歳ぐらいまで我慢しなさい」


それでも早いとは思うけど、まぁ1人で行かせるつもりは無いし。

最大限の譲歩だ。


「はーい」


フランもこっちが譲歩をしているのは理解できているようで大人しく納得してくれる。

練習の邪魔だろうと思い帰ろうとするとフランにお父さんにも教えて欲しいと言われてしまったので、残ってフランに魔法を教えてあげることになった。


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読んでいただきありがとうございます。






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