第50話
「ほんとに数だけは多かった。最後の方の階なんて10数万単位でグラトニーがいたぞ?おかげで最下層まで来るのに4日もかかった」
長引くとは予想出来ていたけど、通常の倍時間がかかってしまった。
24時間絶えずグラトニーは襲ってくるし、全部金属に変えられちゃってるからダンジョンでは食べ物どころか水も確保できない。
水の水銀見たいな物質に変えられてしまっていたからね。
金属に変えられてないのは空気ぐらいじゃない?
自分で言ってて空気を金属に変換って意味が分からないけど。
いや、それこそ水銀みたいに常温で気体になる金属も存在するかもしれないし。
知らないうちに吸い込んで毒にやられるとかも有り得るか。
一応毒に反応する魔道具は起動状態にしてたけど。本当にそんなことになったらちょっと厄介だな。
ダンジョンに入ってから倒した数なら200万単位でグラトニーを倒している。
本格侵攻が始まったらどれだけの数が襲って来るのか正直考えたくない。
「カナデさんから渡されたスプレータイプの薬剤のテストし放題だったのは良かったと言えば良かったけど」
扱いやすや、効果共に今までの物の中で1番。さすがカナデさんと言ったところだけど、射程範囲だけは改善の余地ありってところだろうか?
射程で言うと50センチぐらいしかないからなこのスプレータイプ。
片手で持てるキン〇ョール見たいな感じだからこの射程も当然だとは思うけど。
もっと大型化しても良いから火炎放射器見たいな感じにするのもありだと思う。
そこら辺は帰ってから相談だな。
「それで、このダンジョンコアをどうするかなんだが」
俺たちが見たことがあるダンジョンコアは半透明の水晶なんだけど、ここのダンジョンコアは鉄球って感じ。
グラトニーに侵食された結果って事なんだろうけど…
フィアの言う通りどう対処しようか。
「壊すのはダメだよね?」
「それは最終手段だな。このダンジョンを破壊してしまうとソールシュルテンが少なくない経済的被害を受けることになる。だからと言って元に戻すことが出来ないならそうするしかないが」
確かにダンジョンは無限に素材を採集できる。鉱山のようなものだし、壊しちゃうと経済的な損失が大きい。
だからと言ってこの状態のまま放置する訳にはいかないので解決法が見つからなかった場合は破壊しないといけない。
その場合、1部の人達からネチネチ言われるんだろうな〜。
面倒臭い。
「そう言えば、世界樹のダンジョンコアが異世界の神に乗っ取られかけた時に権能を使って元に戻したな」
そう考えたら同じ方法で解決できそうかな。
「世界樹ってダンジョンなのか?」
そう言えば世界樹に関して詳しい話ってしたこと無かったっけ?
このことを知ってたのは俺以外には一緒に行ったイスカぐらいか。
「ダンジョンコアが特別性だけど。世界樹もダンジョンだったよ」
フェムトの作った精霊石を素材にしてる超絶特別性だからなあそこのコアは。
「あそこは仕掛けを知らない人は先に通す気ゼロなダンジョンだから、ニーズさんの案内無しでは進みたくない感じのダンジョンだったよ」
順番どおりに本棚に入っている本を押し込んだり、本棚に順番通りに本を並べたり…。
初見殺しどころか何度入っても覚えられないような仕掛けてんこ盛りなダンジョンだった。
巨大な木の内側にある図書館って感じで見た目は良かったんだけどね…トラップはホントに時間を稼ぐことを優先したような作りで、プラマイゼロって感じだ。
「世界樹に関しては今度詳しく話すとして。今はダンジョンコアの正常化が先だね」
ダンジョンコアに対して逆行の権能を使ってグラトニーに乗っ取られる前のまでダンジョンコアの時間を巻き戻す。
「うん。見た目はいつものダンジョンコアに戻ったけど。本当に元に戻ったか確認する方法が無いんだよな」
ダンジョンマスターのセラスを連れてくる必要があったか。
「ダンジョンコアが正常化できたとして、それを操作するダンジョンマスターが居ないというのも問題なんじゃないか?」
そっか。ダンジョンコアを操作するダンジョンマスターがいないと。
全部金属になっちゃってるダンジョン内を元通りにできないよな。
発生する魔物もグラトニーのままの可能性も有るし。
グラトニーを魔物として扱って良いのか分からないけど。
ダンジョンから湧いて出てくるなら魔物でいいだろう。
魔物だろうとそうじゃなかろうと敵なことには変わりないし。
「ダンジョンはとりあえずこの状態で放置しかないかな?」
「私たちじゃこれ以上ダンジョンにできることは無いだろうから、それしかなだろう。ここまでやったんだからフェムト様に連絡をすれば、すぐにダンジョンマスターが派遣されてくるんじゃないか?」
確かにフェムトに相談するのがこの状態は正解かな。
フェムトからダンジョンに関わってる神様に連絡をしてくれるだろう。
「その必要は有りませんよ。ダンジョンを解放していただきありがとうございます。
私がダンジョンを統括する神です」
こっちから連絡をとるまでもなく、向こうから来てくれたようだ。
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読んでいただきありがとうございます。
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