第49話
「地上組は大丈夫かな」
ダンジョンの中を走りながら、地上組のことを心配する。
「戦闘が起きた時はイスカがいるし。貴族が問題を起こしたとしても4カ国に王族がいるんだぞ?なにか問題が起きても上手く対処するだろう」
走りながら襲いかかってくるグラトニーを消滅させながら、心配しすぎだとフィアが言う。
俺はシャルをおんぶして走っているので戦闘はフィアに任せている。
飛んで行くのが1番早いんだけど飛行系のスキル、魔法は制限されてるから走って移動している。
地上組に関してもフィアが言った通り何があっても対応はできるはず。
水の精霊達にも魔力をあげて、イスカ達に変なことしようとする連中がいたら懲らしめといてってお願いしてあるし。
魔力をあげなくても俺がお願いすれば手伝ってくれるけど。魔力をあげた方が水の精霊たちのやる気が上がる。
大した量を持っていかれる訳では無いので気前よく魔力をあげている。
後は果物とかでも喜ぶけどね。
精霊達からしたら俺の魔力の方がレア度は上みたい。
ディアーネさんですら、俺の魔力か食材どっちがいいって言ったら。
多少間はあったけど俺の魔力を選んだし。
精霊からしたら自分より上位の精霊から魔力を貰うことは大変名誉なことと言うのと。
精霊はこの方法でもレベルが上がるらしい。
俺は最上位の精霊だからこの方法は使えないというのがちょっと残念。
フェムトも精霊じゃないの?って聞いたら精霊だけど神だからノーカンらしい。
「むしろ、被害を受ける方が難しいんじゃないですか?」
「そうだよね。若干、外に残すのはイスカじゃなくてフィアにするべきかなとかちょっと思ってたけど…。イスカがキレた拍子に辺りが更地になるとか起きないよね?」
みんなが巻き込まれないか心配なのは当然だけど。
そういう時にやり過ぎないかというのも心配している。
特にイスカ。俺を馬鹿にされてガチギレした時中々やばかったし。
当然のようにバカにした本人は真っ二つ。
あれでも手加減しているのはわかるけど。
グラトニーの襲撃のせいで街がボロボロの状態でそういうことしちゃうと、問題が大きくなる可能性もある。精神的に不安定な人が多いだろうし。
だったらイスカはダンジョンに同行してもらってフィアを地上組にしておけば良かったかも。
「フィアでも同じだと思うけど。メルから獣王国の王城でコウさんのことをバカにした貴族をそりゃもうボコボコのしたって」
確かにそんなこともあったな。
イスカもフィアもどちらでも変わらなかったかも?
「あれはしつこかったからだ。私はイスカほど気が短くない。それにその後、コウだってブチ切れて城の人を全員ビビらせてたぞ」
だってフィアに言いよろうとする不貞なやからがいるって言うから…。
「完全にどんぐりの背比べです。3人は、家族のことを悪く言われるとリミッターが外れてやり過ぎますから」
シャルにそう言われてしまい俺とフィアは黙る。
その自覚は有るから。
「ダンジョン攻略中だし、無駄話はここまでにして少し集中するか」
「コウの言う通りだな。あんまり油断していると足元をすくわれるかもしれん」
フィアもこれ以上この話を続けるのはまずいと思ったみたいで俺の提案にすぐにのってくる。
「2人ともちょっと露骨すぎます。ちょっと!走る速度突然上げないでください!」
フィアと一瞬目を合わせた後、走る速度をあげる。
シャルに何も言わずに突然速度をあげたので背中で慌ててる。
「できるだけ早い方が良いでしょ?」
「否定はしませんが。突然速度をあげるから舌をかみました」
「悪かったさらにスピードあげるから今度は舌を噛まないようにね」
フィアに更に速度をあげても大丈夫か確認してから速度をあげる。
ダンジョンにシャルの叫び声が響き渡った。
「今日はここまでかな」
27階まで辿り着いたこところで今日の移動は終了とした。
「今日だけで半分以上は進めたけど。階を進める事に少しづつ広くなってるし、明日半日かけてようやく最下層かな」
野営地を作成しながら雑談をする。
いくら権能を使って、金属に変えられないように対応してると言っても、地面に直接テントを建ててって言うのは嫌だったので。
氷で高床を作ってその上にテントや椅子をおく。
魔法で作った冷たくない氷なので、氷に直接座ってもズボンが濡れたり冷たくないようになっている。
「明日1日かけても最下層には辿りつけないかもしれないぞ。出てくるグラトニーは一撃で倒せているが数が多すぎる。それも階を進む事に増えている。さらに言えば、無視すると外に溢れ出すかもしれないと思うと無視ができない」
フィアの言う通りなんだよな。グラトニーの出現数が異常なほど多い。
強くは無いけど数が多すぎる。
この階だけで、万単位を倒した。フィアの言う通り無視すると外に溢れ出す可能性がある以上無視することはできない。
殲滅する必要が有るからどうしても時間がかかる。
かと言って時間をかけすぎるとグラトニー達に有利な状況が生まれる可能性もある。
あ〜面倒臭い。
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