第39話
「こう言うのってやっぱり何処かしらで上手くいかないことが起こるよね。沢山の人が関わってるから仕方ないと言えばそうなんだろうけど」
だからと言って事前の話し合いで決まったことを簡単に破られちゃやってらんないよね。
それに、そのまま放置ってのも相手を調子に乗らせるだけ何でしっかり対処しないといけないから。
余計に時間がかかるしほんとやんなっちゃう。
「と言う訳でダンジョンに潜って適度に魔物の素材を人間に売りつけるって仕事をしたい人いる?」
「大半の幻獣種からしたら、ここにはご飯を食べに来ているだけですからね。その仕事で稼いだお金でもご飯を食べれるなら立候補する幻獣種も出てくると思いますが…。1番ネックなのはあまり人間と関わり合いたくない幻獣種が多いと言うところでしょうか」
人間と関わるとか面倒臭いだけだろうしな。
幻獣種からしたら。
「なんなら私がダンジョンに潜りますよ?
ちょっとした運動にちょうど良いですし」
ティアナさんがダンジョン行くなら1人でじゅうぶんだろうな。
「それじゃあ、お願いしていいですか?ティアナさんなら自分で転移した魔法も使えて俺が送り迎えする必要も無いですし」
俺が送り迎えする必要が無い。それが1番重要。
転移魔法が使える魔道具を渡せば良い話ではあるけど。
あんまり大勢に素材さえあれば転移魔法が使える魔道具を量産できるなんて知られるわけに行かないし。
「そういえば、食料を置いてくるの忘れた」
彼らもそれなりに食料を持ってきている筈だけど。飴と鞭は必要だろう。
商業ギルドはこちらとの約束を守ってくれた訳だし。
「もし、人間に会いに行くなら、私も同行して良いですか?コウ様がいる時に顔合わせをしておいた方がスムーズだと思うので」
それもそうだな。
それに、人化したティアナさんって青いドレスを来た王女様って感じだし。
商業ギルドの人達が何かやらかさないとも限らない。
商人はむしろ丁寧に対応しようとするだろうけど。商人の護衛として、冒険者ギルド所属じゃない戦闘要員が20人程度来ているので、やらかすとすればこの人達だろう。
ぶっちゃけティアナさんの心配なんて微塵もして無い。
また事後処理をするのが面倒なだけだ。
キュアノス島でTOP10には確実に入る実力を持っているティアナさんに心配なんて不要だし。
という訳で、ティアナさんと2人で商業ギルドの人達がいる場所に転移した。
「驚かせてすまない。ダンジョンに潜る幻獣種の人の紹介と幾らか食材を渡しておこうと思って、帰ってきた」
突然何も無いところにゲートが現れて、人が出てきたら、普通びっくりするだろう。
最近、俺の転移に慣れて突然行っても驚かな
人が増えてきてたから忘れてたよ。
「そうだったんですね…。敵襲かと思って心臓が止まるかと思いました」
彼らからしたら来て数時間しか経ってない始めてくる場所だから。いつもより警戒してただろうし。ちょっと悪いことしたな。
「それで、紹介と言うのは後ろの方でしょうか?」
まぁティアナさん王族オーラがでてるし、見た目だけで判断するとこの人がダンジョンに潜るのって疑問に思っちゃうよね?
護衛の人の何人かはティアナさんの実力を感じているのか、さっきから冷や汗が止まらないようだ。
「人化しているからこの人は見た目は人と変わらないけど。実際はリバイアサンだからめちゃくちゃ強いよ?」
リバイアサンの名前は海の覇者、伝説の魔物として。人間の間でも有名だ。
リバイアサンを実際に見たという人はいないだろうけど。
何百年も遡れば、見たことある人もいるかな?
基本おとぎ話に出てくる魔物だ。
まぁ、ティアナさんは魔物じゃなくて幻獣種だけど。目の前の女性がリバイアサンだと聞いて俺の話を聞いていた商業ギルドの人達の動きが止まった。
「リバイアサンのティアナと申します。商業ギルドの皆さんよろしくお願いしますね」
商業ギルドの人達が引きつった笑顔をしながら挨拶を帰してる。
「精霊王様。1つご相談をさせていただけないでしょうか?」
ティアナさんと商業ギルドの人の顔合わせが終わったところで商業ギルドの人が話しかけてきた。
「とりあえず内容次第かな?」
「我々が護衛として連れてきた者たちのダンジョンに入る許可が頂きたいのです」
なるほど。護衛の人もダンジョンに入って魔物を倒すぐらい余裕だろうし。
「それなら問題ないよ。そしたらこのカードを渡しておくね。このカードを持ってないとダンジョンに入れない様になってるから」
魔力を流して個人登録をするので貸出は不可能だ。
これはダンジョンの機能で作ってもらったもので、このカードに魔力を流した人は種族、レベル、スキル、称号など全てダンジョンに知られてしまう。
ダンジョンマスターがこちら側だし、妙なスキルや称号を持っている人がいたら報告してくれる様になっている。問題を起こしそうな奴を事前に確認するための対策の1つだ。
本当は冒険者ギルドに発行してもらうはずだったんだけど。はぁ〜、ほんと上手くいかないね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます