第28話

(僕が危惧してたのはシェイプシフターの強さじゃなくて、僕のステータスを奪った結果シェイプシフターの体が耐えられなくて爆発。魔界、人間界が消滅ENDを恐れてただけだからね)


確かにフェムトは最初にそう言ってたな。


(後、まだ耐えられてるけど。コウのステータスだってシェイプシフターの体にはいつまでも耐えられる物じゃない。早く倒しに行かないとそのうち爆発するよ?世界が消失したりはしないけど。おっきいクレーターができちゃうよ)


それを早く言って欲しかった。爆発しちゃって手遅れになったら問題でしょ。


自分のステータスを奪われたからか、いつもだと感知できない距離に逃げられたけど。

何処にいるか感知できる。


シェイプシフターがいる場所に転移する。


「いたいた」


自分にそっくりな存在が暴れ回ってる。

ただ倒す為だけに魔物を倒しているみたいだ。

倒した魔物には一切手をつけず。倒したら次の魔物に襲いかかって、て感じで次々と魔物を倒していっている。

自分の体が耐えられないと理解していいるから、魔物を倒してレベルアップして耐えれるように魔物を片っ端から倒しているのかな?


そもそも奪われたステータスを取り返すにはシェイプシフターを倒す必要が有るし。

わざわざシェイプシフターがレベルアップして強くなるのを待つつもりは無いので、停止の権能を使ってシェイプシフターの動きを止める。


「これ、俺が倒すより。エリーゼにトドメを刺して貰って魔物創造でシェイプシフターを使役出来るようにした方が良いかも?」


なんか使い道ありそうだし。俺が魔物創造のスキルを手に入れられるのは、グラトニーのせいで何時になるか分からないし。


それに俺がシェイプシフターを使役するよりエリーゼが使役した方がいい予感がする。


停止の権能で動きを止めたシェイプシフターを念動魔法で持ち上げて、転移で魔族の村まで移動した。


「フェムトも戻って来てたんだね」


「シェイプシフターがどうにかなれば、ここからいなくる必要ないからね。それで倒さないで持って帰って来たの?」


「エリーゼにトドメを刺して貰って、魔物創造で使役して貰おうかなって」


どうして倒さず連れてきたのかこちらの考えを伝える。

多分だけど、レアな魔物だろうし、普通に倒しちゃ勿体ないだろうし。


「シェイプシフターを使役ね…。出現率で言えば、シズとかバハムートよりも低い激レア魔物だし。エリーゼちゃんに使役させるのは良い考えかもね」


それはほんとに激レアだな。


「本物のコウだ!」


エリーゼが全速ダッシュで走ってきて、速度を落とさずにそのままお腹に突っ込んできた。

避ける訳にはいかないし。そのまま受け止めたけど。みぞおちにクリーンヒットしてすごく痛い。

とりあえず頭を撫でてあげる。


「久しぶりエリーゼ」


「全然会いに来てくれないんだもん!で、なんでコウがもう1人?」


シェイプシフターは俺に変身しているので、この場には今俺が2人いる様に見える。

エリーゼはシェイプシフターの話を聞いてないからこの状況は謎すぎるよな。


「これはシェイプシフターって魔物。この魔物は変身能力を持っている珍しい魔物なんだ。今は俺に変身しているから俺が二人いるように見えちゃうんだ」


「へ〜魔物なんだね」


「丁度いいからエリーゼに魔物創造の素材にどうかなって」


「良いの?」


「俺は魔物創造使えないし。ならエリーゼが使役すれば良いかなって」


「面白そうな子だし。それなら遠慮なく」


エリーゼがシェイプシフターに短剣を突き刺して魔石を抉り出す。

シェイプシフターは俺の姿をしているので、

傍から見るとエリーゼに俺が刺されている感じなので少し複雑。


「折角だし、今ここでシェイプシフターを使役しちゃおう」


エリーゼが魔物創造のスキルを発動させる。


「本来の姿はこんな感じなんだね。プニプニしてる」


魔物創造で現れたシェイプシフターは本来の姿である黒色のスライムの様な姿を見て。

エリーゼが無警戒で近づいてプニプニしている。

魔物創造で生み出した魔物は無条件で使役されるとは言え、無警戒すぎるのでは?


「そう言えば、この子は変身能力が有るんだよね?ねえ、シェイちゃん私に変身してみてよ?」


シェイプシフターの名前はシェイちゃんらしい。


「おー、私が二人いる!それと、なんでか体が重くなった気がする」


魔物創造で使役したからって、変身する時にステータスを奪うところは変わらないみたいだ。


「シェイプシフターは変身する時に変身相手のステータスを半分持っていくんだ。

体が重く感じたのはステータスが下がったからだと思うよ」


「どうやら、その効果は使役されると弱体化されるらしく、奪えるステータスは1割みたいだね」


フェムトから、若干訂正が入った。

そうか弱体化されてるのか。


「そうなんだ。シェイちゃんはすごいね!」


エリーゼがエリーゼを撫でてる。

凄い脳がバグる光景だ。


「うーん。シェイちゃんを自分に変身させればレムにバレずに遊びに行ける?」


それを聞いて、エリーゼに使役させたのは失敗だったか?って思ったけど。

シェイプシフターは喋らないし。

顔の表情が変わらないので、エリーゼに変身しているシェイプシフターだって直ぐにわかるから大丈夫だろう。

大丈夫だよね?



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



読んでいただきありがとうございます。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る