第27話
「それじゃあ、エリーゼに会いに行くか。最初から会わないで帰るつもりは無かったし」
アイが作った転移魔法が使える魔道具もあるし。魔界と人間界を繋ぐ常時発動しっぱなしの精霊王4人で発動させる精霊門も設置するから。
そのうちエリーゼの方から会いに来ることも出来る様になるだろう。
アイの魔道具を渡すのは俺と結婚する場合のみだけど。多分今日渡すことになると思う。
自意識過剰男みたいな感じだけど。今回に限っては俺だけじゃなくて他の人の同じことを思ってるだろうし。
魔族としても自分たちのトップであるエリーゼが俺と結婚すれば、今以上に精霊王との繋がりが大きくなるので。早く結婚しろって考えの人が多いみたいだし。
それに俺もエリーゼがアタックに対して満更でもない感じの対応をとってたのも有るので、エリーゼと結婚しないなんて結論を出した日には、フィアたちから「結婚するつもりが無いならなんで最初からそう言う対応をしない?」って特大のお説教を受けることになるだろう。
「少し待っていただいて宜しいですか?コウ様が来たことを先に伝えておかないと、エリーゼ様が悶絶することになると思いますので」
「?まぁレムさんがそう言うなら待ってることにします」
そう言って駆け足でエリーゼの家までレムさんは走って行った。
「ちょっとなんでこの魔物がこんなところに!?」
レムさんが戻ってくるのをのんびり待っていると、フェムトが突然大声をあげて転移した。
何か緊急事態が起きたのはわかるけど、何が起きてるのか理解が追いつかないって思ってたらフェムトから念話が届く。
(村に向かって黒いスライムみたいのが近づいて来てるから、早く倒して!)
念話越しでもフェムトが焦っているのが伝わってくる。
フェムトがここまで焦られる魔物が村に近づいて来てるとか一大事だ。
それにしてもこの村の周辺にはプロテクトツリーって言う。魔物が強ければ強い程苦手に感じる匂いを発する木が生えてるから。
強い魔物は近寄って来ないはずなんだけど。
強すぎる魔物には効かないとか?
そんな事より早く倒さないと、と思ったところで念話がもう一度届く。
(……あぁ〜遅かったか…コウ一旦ストップ。シェイプシフターはコウに化けてステータスが上がった結果。プロテクトツリーの効果をモロに受けて後退しているから、村の危機は去った。一旦シェイプシフターについて説明する)
シェイプシフターって言うと様々な姿に変身出来る化け物だったか。
俺に化けてステータスが上がったって言ってたけど…。
何も説明せずにフェムトが転移で居なくなった理由がわかった。
恐らく、返信した相手によってシェイプシフターのステータスが変動するとかそんな感じだろう。
もし、シェイプシフターがフェムトに変身してたら…化け物とかそんなレベルじゃないシェイプシフターが誕生していただろう。
フェムトが転移で瞬時にこの場から消えた判断は大正解ということだろう。
(だいたいコウの予想通りだよ。詳しく説明すると、シェイプシフターは変身相手のステータスを半分奪うことが出来るの。だから今のシェイプシフターは通常のコウの半分のステータスだし。コウのステータスはいつもの半分になってる筈だよ)
まじかよ。自分の強化と敵の弱体化両方同時にこなせるとか…。
シェイプシフター恐るべし。
(俺のステータスってシェイプシフターを倒せば元に戻るの?)
シェイプシフターを倒すか。シェイプシフターが別の存在に変身すればステータスは元に戻るよ。
それにしてもステータスを半分も奪えるって想像以上の上昇率だな。
良くて1割ぐらいって思ってたのに。
いやほんとにシェイプシフターがフェムトに化けなくて良かった。
フェムトの半分のステータスを持った魔物とか倒せるわけが無い。
(いや、そもそも僕のステータスを半分奪ったところで、シェイプシフターの体がそのステータスに耐えられなくて直ぐに爆散しちゃうけどね)
(あれ?そうなんだ。じゃあなんでわざわざ逃げたの?)
寧ろ、爆散させて倒しちゃった方が良いんじゃないの?
(その爆発が問題なの、僕から奪った力が放出される訳だから。それはもうヤバい威力なわけ。それこそ世界が1つ2つ滅びかねない威力)
あ〜なるほど。それはダメだ。
(と言っても倒すの大変そう。俺のステータスの半分プラス、シェイプシフターの元々のステータスって事でしょ?今のシェイプシフターのステータス)
某カードゲームの邪神〇バターみたいなやつだな。シェイプシフター。
自分よりステータスが高い相手には絶対勝てないという訳じゃないけど。
苦戦するのは確実だろうし。
(何言ってんの?奪われたのはステータスだけなんだから、権能使えば一瞬だよ?)
あ〜奪われたのはステータスだけだもんな。
スキルや権能まで奪われたわけじゃない。
権能で動きを止めちゃえばそれで終わりか。
結構やばい相手だって身構えてたけど……
シェイプシフターがなにかやらかす前に早く倒しちゃおう。
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