第17話
アラクネたちの洋服屋さんを開くという計画をそろそろ実行に移さないと、と思い予め建物を用意しておいたハジメくんが絶賛開発中の町にアラクネのネルルと一緒にその建物を見るために訪れる。
するとなんの前触れもなく空に大きな亀裂が走り、そこから謎の正八面体が姿を現す。
現れた謎の正八面体を倒した後どう考えても普通の魔物じゃないので、謎の正八面体について知っていそうなフェムトに話を聞くためにキュアノス島に帰ってきた。
「早速だけどフェムトあれは何なの?」
報告のために先にネルルをキュアノス島に転移させてるし。
何が起きたのかはもう把握してるだろう。
「僕もさっき世界神様から教えて貰っただけで、詳しく知ってる訳じゃないけど。アレは全てをとりこんで、取り込める物がなくなったら別の世界に移動する。なんと言うかイナゴの強化版見たいな存在なんだって」
いや、イナゴの強化版って……。
言いたいことは何となく分かるけど。
やっぱり放置は出来ない敵みたいだ。
世界を滅ぼす侵略者ってことだし。
「倒す必要が有るのはその通りだけど。一筋縄では行かなそうだよ?あの世界神様でも手こずってる相手だし。それにアイツらは神ですら取り込む。そして取り込んだものの性質やスキルが使える様になる。だから個体によっては権能を使えるのもいるらしいよ。使えなくても権能に対して耐性を持ってる個体もいるみたいだし」
想像以上に厄介そうなんだけど。
さ っき倒したのは下っ端も下っ端。
こちらの世界のレベルを測るための捨て駒部隊。
これからアレとの戦闘はどんどん激化すると……。
「それにしても名前が無いと呼びにくいな。アレの名前ってあったりするの?」
「グラトニーって呼んでるらしいよ。僕的にはそのまま過ぎない?って思うけど」
暴食ねぇ、神様だって取り込んじゃうんだからピッタリの名前なんじゃない?
「良い悪いはおいといて、グラトニーが攻めて来たのって俺が対処した1箇所だけ?」
「いや、結構多くの箇所で同時に出現したみたいだね。被害に関しては場所事で結構差が有るみたい。運良くコアの存在に気づけたかが鍵だったみたいだね」
まぁ、さっきの襲撃がこの世界の戦力調査だったんなら1箇所だけってことは無いか。
「因みにグラトニーの襲撃を事前に察知できる装置とか特攻の有る武器とかない?」
「そんなのあったら僕が欲しいぐらい」
当然、そんな便利なもの存在しないらしい。
「それじゃあ、今のところはグラトニーが攻めてきてから対処する事しか出来ない?」
「そうなんだよね。先ずはグラトニーのことを人間に教えて確実対策を練ってもらうしか無いかな」
今のところこちらからグラトニーに対して逆侵攻をかける方法も無いらしいし、あちらから攻めてきたのをちまちま倒すしか無いようだ。
「そうしたら、先ずは知り合いにグラトニーのことを知らせて回ってくる」
たいしたことが分かってないとして貰っグラトニーのことを知らせておく必要は有るだろう。
「それがいいと思う。と言うかそれ以外やる事がない」
対策武器とかの開発はアイとカナデさんが既に始めているらしい。
グラトニーの欠片を少し引き取って来てたので実験に使ってもらう為に渡して、転移を使って知り合いの所を回る。
グラトニーの話をしている時にタイミング良くグラトニーが実際に襲撃を仕掛けて来る事も何度かあった。
どれも最初と同じ正八面体のをしている金属で触れることによる金属への変換しか攻撃方法が無かったので距離さえ取っていれば、それなりに戦闘ができる人なら倒せるから問題なかったけど。
弱点のコアの位置も全然同じみたいだし。
簡単に倒せるって誤解されるのも問題だけど。
今回、襲ってきてるのはグラトニーの中でも1番弱いタイプ。
今後、もっと強いタイプがいっぱい出てくるだろう。その時に前回問題なかったからって調子に乗ってると、酷い被害を受ける事になるだろう。
「移動は転移で一瞬だとしても。何度も何度も同じ説明しなきゃいけないし。説明中にグラトニーが攻めてくる事も有るしで疲れた」
どれだけ体が丈夫になっても精神的な疲れは無くならないなとソファーに座りながら思う。
「疲れてるところ悪いんだけど。今からもうひと仕事お願い」
俺がサンプルとしてグラトニーの金属部分を置いていったおかげで、金属を直接解析する事ができてグラトニーの金属だけを融解させる金属溶解液を作ることに成功したらしい。
解析した結果。金属の質的には金レベルの柔らかさなので、使えて装飾品ぐらいだし。
利用価値は低いと言うのが総評だった。
グラトニーの本体であるコアから分離すれば、侵食と増殖をしなくなるので金属としての利用価値を見いだした人が討伐を反対しだしたら面倒だと思ったけど。コレを伝えれば、キュアノス島のアイアンゴーレムから鉄が採れるダンジョンの一般開放を合わせてそんな事を考える人を更に減らせるだろう。
移動は転移で一瞬なんだからもうひと仕事頑張ろう。
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