第16話
「落下と言うより、自分たちの意思で降下してきてるって感じだな」
外に出て空を確認すると最初見た時は空に現れた裂け目の周りを浮遊していた正八面体が空からゆっくりと地上に向かって降りてくる。
あの感じは浮遊能力を失って墜落している訳では無いだろうから。
何か目的があってあの正八面体は地上に降下して来ているのだろう。
あの正八面体は意思の疎通が出来るのかは謎だけど。知能のある存在ってことだ。
いや、冷静に考えれば。
誰かが操るドローンって方が有り得るか。
どうだろう?正八面体が魔物って事も考えられるし。
「もうすぐ、コウさんの作った氷のドームと接触しますが…正直、壊せるとは思いませんがアレがどう動くのか……」
町にいる全員が注目する中謎の正八面体が氷のドームに接触する。
「オイオイまじかよ……」
正八面体が氷のドームに接触すると水が徐々に凍っていくのと同じように、氷が金属に侵食、変化していく。
「まさかアレ、異世界の神関係者か?」
少し前に、この世界を乗っ取ろうと襲いかかってきた異世界の神が【侵食】と言う権能を使って今、謎の正八面体がやったことと同じようなことが出来た。
異世界の神は俺達が消滅させたはずなんだけど。
「このままってのは不味い。あんな事が出来るならそのまま様子見なんてしている訳にはいかないだろう。直接攻撃するけど。問題ない?」
あんな事ができる以上、氷のドームは意味が無いのですぐに解除する。
氷を侵食して自分と同じ金属に変化させて取り込んでるみたいだし。
正八面体のサイズが一回り大きくなっている。
あれは野放しにしていい存在じゃない。
「勿論、アレは倒さないと不味いです」
この町のトップであるハジメくんの許可も出たので、謎の正八面体を直接凍らせる。
「金属なんだから、凍らせた程度じゃ倒せないのは当たり前か…」
謎の正八面体を氷漬けにしたけど、すぐに金属に変換されて正八面体のサイズが更に一回り大きくなった。
氷漬けにして砕けば倒せるかも知れないけど。破片一つ一つが動き出したら厄介だし。
下手なことは出来ない。
最終的には停止の権能を使って対処するつもりだけど。
俺以外の人でも謎の正八面体を倒せるのか確認する為にも魔法で倒せるのか確認しておきたい。
もし、増殖しても対処出来るレベルで抑える為に氷の刃を謎の正八面体に向かって飛ばして真っ二つにする。
真っ二つにした結果。片方はそのままゆっくり降下してきてるが。片方は速度をあげて地面に墜ちた。
「増えたりはしなさそう?それに触れたものを一瞬で金属に変換する事は出来ないみたいだな」
氷の刃を金属に変換されて、そもそもダメージを与えられないとか、そう言う可能性もあったし。
地面に落ちた方の正八面体の欠片には金属に変換する能力は無いみたいだ。
空に浮遊している正八面体の欠片はグニャグニャと形を変えてさっきまでの半分のサイズの正八面体に変形した。
恐らく、ゴーレム見たいにコアがどこかにあってそれを破壊すれば倒せる。
もう一度謎の正八面体を氷漬けにして、今度は金属に変換される前に粉々に砕く。
すると破片の中にゴルフボールサイズの水晶玉のような物が混じっていたので、それに向かって氷の槍を飛ばして破壊する。
少し様子をみても粉々にした正八面体が再生して復活する事は無かった。
正八面体の中にある水晶玉恐らくコアだと思う。弱点が判明したので残りの謎の正八面体は一気に対処する。
「空の裂け目が閉じていく……」
正八面体を全部倒したのがキーだったのか、あの裂け目は一定時間で消える物だったのか。それともほかの原因か検討はつかないけど。
裂け目が閉じたという事は、ひとまずこの町の危機は去ったということだろう。
破片の回収はハジメくんが雇ってる騎士や兵士がやってくれるそうなので、あとは任せてハジメくんの屋敷の中に戻った。
「それにしても、上限があるのかもしれなけど、触れたものを金属に変換して自分の体の1部にしてしまうって、厄介この上ない」
「でも、見方によっては永久に金属を生産してくれる存在とも言えますよね」
「いや、1箇所に囲む事も出来ないのに上手く利用できる分けないでしょ?それならダンジョンに潜ってアイアンゴーレム倒した方が確実だと思うよ」
それに、金属っぽいだけで金属として使えるのか、まだ分からないし。
これに関しては今回の残骸を調べて見れば分かるだろう。
「そうですよね。でも、無限に金属を生産してくれる存在。そう考える人は多いと思いますよ」
だろうね〜。そういった人のせいで大惨事になるのは面倒臭い。
キュアノス島のダンジョンの一般開放の時期を早めるか。
あそこはアイアンゴーレムがそれなりの数出現するし。
謎の正八面体を金属生産装置として使おうと考える人が少しは減るかも知れない。
「とりあえず。今日はキュアノス島に帰って、フェムトに詳しい話を聞いみるよ」
詳しく分かったら、すぐ報告に来ると言ってハジメくんの屋敷を後にした。
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