第11話
盗聴器ぐらい普通に仕掛けて有りそうだけど、対策するの面倒臭いし。
聞かれても問題無いの精神で普通に話す事にした。
「その場の流れでグリランド王国の勢力みたいになっちゃったけど。イスカ的にはどう思う?」
「私の本来の姿を見せた辺りから薄々感じてましたけど。もう面倒くさくなったんですか?話が盗聴されている可能性とか考えなくていいんですか?」
「もう良いかなって。盗聴器の対策って面倒臭いじゃん。2人で話をしている間、盗聴器が機能しなくすることは簡単だけど。それはそれで、俺らがグリランド王国の人には聞かせられない話をしてますよって自供してるようなもんじゃん?」
なんならもうグリランド王国を異世界に干渉している原因探しに巻き込んでしまえばいい。勿論、その分お礼はするつもりだ。
今回みたいな旧ライン帝国の遺物探しを手伝ったりとか。
「コウさんの考えは分かりました。力があっても結局2人だけでは調べるのも限界がありますし。この世界の常識も無いから更に大変ですし、いい考えだとは思います。けど、異世界から捜し物をしに来ましたなんて信じて貰えると思いますか?」
この世界にも転移者とか転生者が、存在していて案外簡単に信じてくれる可能性もなくは無い。ほぼないと思ってるけど。
実際、その部分を信じてもらう必要は無いと俺は思ってるんだよね。
「別に異世界から来たという所を信じてもらう必要は無いよ。俺たちの探し物を手伝ってもらえれば言い訳だから。まぁ、この話を聞いて敵対するって言うなら蹴散らすだけだし。探し物を手伝って貰えないとしても、敵対してこなければ何もしないし」
ヤバいやつの自覚は有るけど。チマチマ捜し物するのはしょうに合わない。
「この会話を盗聴してたらしなきゃ良かったと後悔するんでしょうね」
そこはもう諦めて貰うしかない。
「まぁ、私もコソコソ調べ物をするのは性にあわないなと思ってたから。グリランド王国が手伝ってくれるなら嬉しいですね」
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操舵室side
操舵室にいる人間は全員聞かなきゃ良かったと物凄く後悔していた。
「異世界人っておとぎ話の話じゃないんですか?旧ライン帝国時代から生きている長命種って言われた方がまだ信じられるんですけど」
この世界にも異世界と言う概念は存在する。
ただし、それは想像上の話で本や劇などで活用される概念であって。本当に異世界が存在すると考えている人は極小数だ。
それこそ、約5000年前に崩壊した旧ライン帝国時代から生きている長命種の方が信じられると言う人が多いと言うぐらいには異世界が存在すると信じている人は少ない。
この世界の長命種の寿命は1000~1500年ぐらいだから、普通に考えたら5000年以上生きてる存在など信じられないけど。
5000年たっても超えることのできない技術を持った旧ライン帝国が存在した時代ならそのぐらい長生きする種族もいたんじゃないかと。
話だけの概念で証拠が何も無い異世界より信じられると言うことだ。
「コウ殿も言っていただろう。異世界人であるかないかは関係ない。捜し物を手伝うかどうかはおいておいて。絶対に敵対だけはしてはいけない」
この潜水艦に乗っている人達は全員、リバイアサン状態のイスカを見ているので、敵対したい等と思う人は誰もいない。
しかし、このことを知ってしまった以上、上に報告しない訳にはいかない。
上が敵対することを選んでしまった場合、最初に戦うことになるのは自分たちだろう。
もしそうなってしまった場合自分達がどうなるのか考えるまでもない。
マグラス大佐に出来るのは、上が敵対しないと判断することを願うだけだった。
「大佐。あと10分で潜航ポイントに到着しますがどういたしますか?」
「予定通り進めるしかない。コウ殿とイスカ殿は私が迎えに行く。幾ら、盗聴されてること前提で相手が話していたとはいえ。こちらから盗聴していたとばらす必要は無い。コウ殿達を連れて帰ってくるまでに各員心を落ち着かせておくこと」
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コウ、イスカside
「いくら自分たちの潜水艦だからって油断し過ぎだね。自分たちも盗聴されている可能性ぐらい考えとかないと」
操舵室から出る時に仕掛けておいた盗聴器から操舵室内の会話を聞きながらそう評価する。
「設置は念動魔法だから私たちが設置するような動きは一切ないし。盗聴器自体透明なんだから気づけなくて当たり前です。それにしてもだいたい予想通りですね」
マグラス大佐の部隊は最低限敵対するつもりは無いだろうけど。国が戦えと命令したらマグラス大佐達は戦わない訳には行かないだろう。
まぁ、国が正しい判断をしてくれることを祈っておこう。
その確率を少しでも上げるために研究所の調査を上手く終わらせる必要があるな。
研究所の調査結果次第では俺たちのことを使えると判断するだろうし。
無闇矢鱈に人と敵対したい訳じゃないし。
本当敵対しないでくれよ?
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