第10話
「おー、モニターに外の景色が映ってる。潜水艦ってどうやって外の様子を確認してるのかな?って最初に見た時、疑問に思ったんだけど。こうなってるんだね」
潜水艦は操舵室のところだけガラスばりになっているとか、そんなことは無く。全面金属製だったので、レーダーで魔物や地形を確認して潜航するものだと思っていたけど、外にカメラがついているらしく。
恐らくリアルタイムでの映像が大きなスクリーンに映し出されている。
「この潜水艦には360°死角が出来ないように外部カメラが設置されています。今は前方の映像しか映していませんが、画面を分割して、いくつも映像を移すこともできますし。ズーム機能、録画機能もついています」
ズーム機能に録画機能って地味に重要だよね。確認作業にも使えるし、報告の信憑性も増す。
まぁ、鹵獲されちゃうと録画記録から色々バレちゃったりするんだろうけど。
今回みたいに。
勿論、情報を抜かれ無いように。セキュリティがかかっていたり、最終手段として消去するコマンドも有るんだろうけど。
今回はそんなことさせる時間を与えないように一瞬で制圧したから。
「まずは、安全に潜航するために、このまま島を離れます。メインエンジンの始動時に少し揺れますのでご注意ください」
まぁ、島の真横で潜航を開始するのは危ないだろうし。当然っちゃ当然か。
「分かりました」
「メインエンジン、通常モードで起動!メインエンジンの安定後、直ぐに島から離脱。潜航を開始するのに安全な位置まで離れたら即、潜航を開始する。目的地は旧ライン帝国の研究所。付近には鹵獲した潜水艦以外にも真・ライン帝国の勢力が居ると思われる。各員いつ戦闘になっても対応出来るよう気を抜くな」
「「「「サーイエッサー!」」」」
お〜軍隊っぽいと少し感動してしまった。
ぽいじゃなくて本物の軍人さんタチなんだけどね。
「メインエンジン通常モード起動。安定率70%。潜航ポイントまで航行をしている間に潜航可能な安定率まで上昇するものと思われます」
メインエンジンが起動した瞬間、潜水艦がズズンと短い縦揺れが起こった。
揺れがおさまって少しすると潜水艦が後退を初めて島から離れていく。
島に残っている軍人さんが潜水艦に向かって敬礼をして送り出していた。
「潜航ポイントに到達するまで少し時間がかかりますので。コウ殿とイスカ殿にお使いいただく部屋をご案内しようと思うのですが」
研究所の調査は1日で終わるものでは無いので、数日間この潜水艦で寝起きする訳だけど。どんな部屋なのか確認をまだしてなかったな。
想像以上に艦内が広いからパイプで作られた2段ベットよりはマシだとは思う。
2人部屋って聞いてるし、その時点で潜水艦で生活すると考えるならだいぶ上等だと思う。
「そう言えば、この潜水艦ってどうやって潜航するんですか?」
部屋に移動中の間に潜水艦で1番気になっていたことを聞いてみる。もしかしたら教えてくれないかもしれないけど。その時は潔く諦めよう。気にはなるけど、そこまでして知りたいかと言われると微妙だし。
「魔力を流すと重量が増える鉱石を重り替わりに使用しています。なので潜航するときはその鉱石の魔力を流すだけで潜水艦は沈んでいきます。浮上する時も簡単で、魔力の供給を止めるだけで浮上するようになっています」
さすがファンタジー。でも、潜航中はずっとその鉱石に魔力を流し続ける必要が有るのか。魔力の消費は激しそうだな。
「それだと、潜航中はずっと魔力を流し続ける必要が有るんですよね?魔力の消費が凄くないですか?」
「確かに数年前までは、この方式の潜水艦は大型の魔導エンジンを搭載しても長くて10時間、潜航するのが限界でしたが。鉱石に流す魔力を循環させる技術が開発されて、今では中型魔導エンジンでも1ヶ月は潜航を続けられるようになっています」
まぁ、新しい技術が開発されたおかげで長く潜航出来るようになったってことだな。
それとこの世界のエンジンは燃料を消費してものを動かす物じゃなくて、魔力を生成する発電機見たいなものみたいだな。話の感じからすると。
「ご説明頂き有難うございます。それにしても陸で暮らす人達の想像力は凄いですね」
まだ、地球を入れて4箇所しか、異世界を体験してないけど。その中ではこの世界が1番技術力と言う点では優れているかもしれない。
地球も超能力が使えるようになってたから、この世界と似たような進化をしていくのかもしれない。
その前に金属生命体に人類が滅ぼされる可能性もありそうだったけど。
「我々は海の民の方たちと違い弱いですから。生き残るために必死になった結果です」
一対一だと海で生活している人間の方が強いのか。海で暮らす人のふりをしてるけど。
実際会ったこと無いからな。
やらかさないためにも、1回会って見たいんだけど、そこら辺泳いでないかな?
「こちらが潜水艦にいる間のお二人のお部屋になります」
ちゃんとしたベットがある以外は何も無いし。置く場所も無いけど。ちゃんとしたベットが有るだけでじゅうぶん。スペースが限られた潜水艦に乗っているのにこれ以上を望むなら潜水艦に乗るなって話になってしまう。
「決して広いとは言えないのですが…」
「限られたスペースしか無いんですから、これでじゅうぶんですよ」
「ありがとうございます。では、私は操舵室に戻ります。潜航するポイントに到達しましたら、この部屋に使いを送りますので。それまでご休憩ください」
イスカと2人で話もしたかったしちょうど良いか。
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読んで頂き有難うございます。
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