第2話

「石豆腐だけど。まぁ、最低限家として機能するし」


魔法を使って石の壁をを作って囲んだだけだけど、そのまま寝るより全然まし。

趣味でアイが作っていたコットや寝袋を石豆腐の中に入れて取り敢えず今日の寝床を確保。


最低限の準備は出来たということで、イスカと2人で次は何をするか話し合う。


「結局は海を調べるか。人の住む土地に向かうかどっちかだよね」


この無人島は石、土、砂以外は何も無いから調べるものは無さそうだし。


「少し考えてたんですが。この島はほんとに無人島なんでしょうか?」


どう言う事?地下に地底人が住んでるとか?


「この島から100mは砂地の海底でそこからは崖のようになっていて海底が目視できないと報告しましたよね?」


「うん、そうだね」


「この砂って何が運んできたんでしょうか?この島に川が流れている訳でもないし。海流で運ばれてくるにも、近くには砂のある海底を確認できません。しかも砂自体恐らくサンゴを細かく砕いた物、人間が島を開発する為に遠くから砂を運搬して来てると言うのがいちばん有り得そうなんですよね。サンゴを食べる魔物のトイレと言う可能性も有りますが」


言われてみると1箇所だけ砂地って少し不自然かも。人間が島を開発する為に必要だから

持ってきたって言うのも有り得るきがする。


「でも、イスカが言ってた。サンゴを食べる魔物のトイレって言う可能性も結構いい線言ってると思うけど?」


地球だとブダイ系がサンゴとか貝殻とかを食べて、消化出来ない細かくなった、サンゴの骨とか貝殻が糞として出てきて、砂になるって話だし。割と有り得そう。


「実際、そう言う魔物を私も知ってますし。普通は最有力なんですけど。その場合海水の流れの関係で、あそこに砂はたまらない筈なんですよね。不思議に思って少し観察している間1度も砂が100m以外の場所に流れて行くことは無かったんですよ。まるで砂だけを通さない結界が張ってあるみたいに」


そう考えると人間が手を加えている可能性が高い訳だ。


「じゃあ、ここに居ると人間が戻ってきた時に侵略者として攻撃される可能性が高いか」


現状人間のいる土地がどこにあるのか分からないから、待っていれば人が来る可能性が高いと言うのは情報収集が出来そうと言う点では朗報だけど。遭遇の仕方を考えないと話を聞くどころか敵対されてしまう。

取り敢えず、勝手に家が建っている状態は良くないだろう。中のものをしまって元通りにしておこう。


「ひとまず、家は壊して無かったことにして、この島の近海を調査しながら、人がこの島に来るのを待って、人が来たのを確認してから、旅人を装って接触してみる?」


上手くいくか分からないけど。ダメだったらダメだったで、どうとでもなるだろうし。

現状異世界アクアからの干渉が人為的なのか。それとも偶然に偶然が重なって起きてしまった事なのか、全く分からないし。

かと言って最初からその事について調べようとしても上手くいかないのは明らか。

まずはこの世界について調べた方が良い。

ってなると現地人に聞いたり、図書館的なものがあると良いけど。


「それなら急いで島から離れましょう。水中からこの島に一直線に向かってくる団体さんがいますし」


えっ!水中?9割が海の世界だし、やっぱり水中でも生活できるように進化しているのか?

確認のために水中に探知を飛ばしてみると、確かに数十人規模で固まって近づいてくる団体を確認できた。ただ、泳いで近づいて来ていると言うよりか乗り物に乗って近づいて来ているようだ。


「フェムトが船の技術が進んでいると言っていたけど。潜水艦みたいな物を開発してるとは…。近づいてくるなら船だろうからすぐにわかるだろうってちょっと油断してたな。急いで島からでよう」


潜水艦が近づいてくる反対方向に向かって島を離れていった。


ーーーーー


「そう言えばフェムトが何が原因か分からないけど海面上昇によって地上はほとんど水没したって言ってたな。ってことはさっきの島は山の頂上だったりする?」


海の中を潜っていけば水没した都市とかが有りそうだな。

水没する前の人類は進んだ技術を持っていて

その古代人が作った装置が起動してしまって、ほかの世界へ干渉を初めてしまったとか。

割と有り得そう。

ただ、さっきの島が水没前は大きな山だったとして山のすぐ近くに大きな都市あるかな?

絶対に無いとは言えないけど、首都的な都市ではない気がする。


「島に来た連中はすぐに島からいなくなる訳じゃ無いだろうし。海底を目指してみるか」


収納魔法から自動で後ろをついてくるランタンを取り出す。

本当はダンジョンでの魔物よけとして使うものだけど。俺は自動追尾してくれる光源として使うのがほとんどだ。


「なにか情報になるものが手に入ると良いんですが。まぁ、見つからなかったら見つからないで、コウさんと2人でいられる時間が増えるので、それも悪くないですけど」


1年ぐらいこっちの世界にいても元の世界では1日しか経たないって話だからね。



底が見えない真っ暗な海底に向かって潜って行った。






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読んでいただきありがとうございます。


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