第7話
「それにしても、このまま進むと確実に遭難するだろうし。何か目印が必要だな。木に目印でも彫っておくか?」
状態異常対策のためにエリクサー化した燻製肉をモグモグしながら濃い霧がかかってこの場所を迷わずに探索する方法をいくつか考える。
「後はいつの間にかはぐれてたと言うのがいちばん怖いですね」
メルもエリクサー化した燻製肉をモグモグしながらはぐれるのはまずいと言う。
1mもすると先が見えなくなって魔力感知も正常に発動しない場所での迷子はかなり危険だ。
俺の場合、自前の転移でこの場所から家に直接帰ることは出来るけど。この場所ではアイ特製転移魔法が使える魔道具も上手く起動しないようなので、メルはそれが出来ない。
はぐれないよに紐で結ぶとかも魔物と戦闘になった時に危ないから無理だし。
「後、木に目印を彫るのは辞めておいた方がいいと思います。魔道具が反応してるので」
アイが作った人体に悪い影響を与える物に反応する魔道具が反応したってことは、この木も近づかない方が良さそう。
それにしても、この木この場所だったらどこにでも生えてそうな木なんだけど。
この場所俺が思っている以上にヤバい物だらけかもしれない。
「ひとまず、目印代わりに氷像でも作りながら進むか」
「今のところはそれが1番良さそうですね。その前に進まなくてもいっぱいキノコが生えてますし。そっちの確認からしませんか?」
あぁ、確かにわざわざ移動しなくてもいっぱいキノコ生えてるし、まずはそれを採ってから移動だよな。
「これをつければ、もし毒とかあっても大丈夫なのでこの手袋をして適当にキノコをとってください。食べれるかどうかはフェムト様に見てもらうのが1番早いと思いますし」
そう言ってメルから手にフィットするタイプのゴム手袋見たいのを手渡された。
いつの間にこんな物を?作ったのはフェムトかアイのどちらかだろうけど。
「水仕事とかをする時に手が荒れないようにって女性にはフェムト様が配ってくれたものです。なんかワームの腸を加工したものって言ってました」
この世界、ワームの素材も結構万能素材だよね。糞は肥料になるし。見た目ヤツメウナギみたいなやつか、ミミズみたいなやつらだけど肉も食えてそこそこ美味しいし。
皮もソファーとか家具として人気だし。
内蔵も加工次第でこんな手袋も作れちゃう。
魔界には塩分を豊富に含んだ美肌効果のある体液を分泌するワームもいるし。
あんな見た目なのに…。まじで有能。
「どうしたんですか?」
ワームのくせにと1人で考え固まっていると。
既に手袋をして片っ端からキノコを採り初めてるメルにコウさんも早く採集してくださいと目が言っている。
今はワームのことはどうでもいいやと手袋をつけてキノコを採集する。
日本で実際に見たことがあるような。エリンギ、しめじ、舞茸、なめこ、椎茸、松茸にほんとそっくりな見た目は食べられそうなキノコから、絶対食べちゃダメだろって言うようなパステルカラーをしたキノコや7色に光り輝くゲーミングキノコも生えていた。
こう言うのって以外に見た目毒キノコみたいなやつの方が食べれるキノコだったりするし。一応やばそうなキノコも普通に採集した。
「それにしても採集したばかりなのにもう既に新しいキノコが生えてきてますよ…流石にちょっと気持ち悪いですね」
今も1度キノコをとった場所からニョキニョキ次のキノコが生えてきてる。キノコの成長を10倍速ぐらいの速さで見ている気分。
それが、倍速とか無しで目の前で起こっている。なんか、毒とかなくても食べても良いのかちょっと不安になってくる光景だ。
「キノコに関してはもういっぱいとったし。これ以上は取らないとして、危険物判定が既に出てるけど、この際、木もちょっと調べてみるか」
流水の短剣を手に持って刀身を伸ばして離れたところから危険物判定がでた木を少し傷つける。
この木何かで似たようなものを見たことあるな?って思ってたんだけどウルシにそっくりだって今思い出した。
漆って直接触れると手がかぶれるし。その効果がパワーアップしてるとしたら、危険物判定がでてもおかしくないし。
ウルシらしき木につけた傷からポタポタと樹液がしみ出す。樹液が結構粘性を持っているので傷口から掻き出さないとこれ以上樹液がしみ出しそうにない。
傷つけた瞬間樹液が吹き出してきたマングローブと違ってこっちは全然樹液が出てこない。こっちが普通なはずだけど、マングローブのあれを見た後だと、もっといっぱい樹液が出てくれば良いのにと思ってしまう。
普通はなんか道具を使って傷口から樹液を掻き出しながら集めるんだろうけど。
マングローブの時と同じように水属性魔法で樹液を集めて水球にして集める。
樹液が出てこなくなるまで1時間ぐらい樹液を集めたけど250ml缶の八分目までぐらいの量しか取れなかった。
漆として使えるかまだ分からないけど使えたとしても相当手間がかかりそうだ。
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます