第4話

「ほんとに石が転がってるだけで何も無いね。頂上は雪が積もってるみたいだけど」


雪って言うよりかは気温が低いから凍りついてると言う方が正しいだろうか?


でも、高度が高くなればなるほど気温が下がるのは当たり前って思ってたけど。

この世界だとそうじゃない場所も結構有るんだよな。

気候に影響を与えるレベルの存在が住んでるとか。

そう考えると今回の山はあちこちから火が吹き上がる見たいな環境でもおかしくないと思うけど。フェニックスがいるらしい頂上は真逆に凍りついてるんだよね。

まだ 、加減が出来ないフェニックスの子供が何でもかんでも燃やさないようにここの山にいるって言ってたな。

子育てのしかも子供が自分の火を上手く制御できない期間だけこの山にいるって事だろう。だとしても、フェニックスがいるなら気温が低いだけで凍っているなら溶けてるだろうし。

この山はフェニックスの真逆で冷気を自在に操れる存在が住処な気がする。

どんなのがいるかは登ってみてのお楽しみだな。


眺めているだけじゃいつまで経っても頂上につかないので、マルタと2人で登り始めたけど、特に魔物に襲われることも無く。

景色も全く変わらないので、まだ歩き始めたばっかりなのに飽きてきた。

フェニックスにただ会いに行くためってだけの理由ならこれでも良いけど。

デートでもあるのでこれはどうなの?って感じだ。今からでも別の場所に変えるか?

フェニックスに会うだけなら、飛んで頂上まで行けばすぐだし。


「フェニックスに会うの楽しみですね。それに最近、転移魔法で移動してばかりでしたからこうやって自分で歩いて目的地に向かうのも楽しいです」


マルタはマルタなりに楽しんでくれているみたい。

ならこのまま頂上を目指すか。


「それにしても本当に何も起きないな。1匹も魔物に遭遇しないってどうなの?」


あれから山を登り続けて日が沈み出したのでいい感じのところに空間拡張がされた魔道具のテントを設営して野営の準備をしている。


「ダンジョンの魔物でも無ければ、コウさんの魔力を感じて魔物は基本逃げて行きますよ。コウさんは精霊界では特に魔力が漏れでないように調整したりしませんし、余計に魔物なんて、よって来ない筈です」


最近ダンジョンでしか魔物と戦って無かったから忘れてたな。地上の魔物が余程知能がない種類など特殊な理由が無ければ、相手が絶対に敵わない実力者だと気づけば逃げていく魔物も多い。

ゴブリンは知能が低すぎて動くものならなんでも襲い掛かるけど。

特殊な理由ってのはわかりやすいので言うと子育て中だとか、魔物が大事にしてるものを盗むとかそんな感じ。


ただダンジョンで生み出された魔物は必ず敵対してくる。

魔物はダンジョンからしたら防衛機能の一部と言う認識だろうから、敵が強そうだから戦わないってなったら困るからダンジョンが調整してるんだろう。


「明日からは魔力を抑え気味で進もう。それなら魔物が出てくるかもしれないし」


夜は襲われたら面倒なので寧ろ垂れ流し状態にするけど。

水の精霊達に警護をお願いするし、精霊魔法で結界も張るから、襲ってくる存在なんていないだろうけど。


「そんなことより晩御飯を作らないと」


そう言ってダンジョンで手に入れた岩塩から切り出したプレートを用意する。

今回は岩塩プレートを使って調理する。

いかにもキャンプっぽい感じがするし。

網の上に岩塩プレートを置いて火をつける。

岩塩プレートが温まってきたら薄めに切ったお肉を焼いていく。

最初からステーキみたいな厚いお肉を焼くと岩塩プレートの表面があまり溶けてなくてあまり塩味がつかないとか見た気がするので薄いお肉から焼くといいらしい。


マルタには野菜たっぷりの味噌汁を作ってもらってる。お米は飯盒で炊いてるので、お肉を食べてたらそのうち炊けてるだろう。

ディアーネさんに作って貰った料理も収納魔法にいっぱい持ってるので調理をしなくてもご飯には困らないんだけど。

こういう場所で自分たちで料理するってのも楽しいからね。


「マルタもだいぶ料理が上手になったね」


貴族のお嬢様だから当然料理なんてしたこと無かったし、出来なかったんだけど。

みんなでディアーネさんに料理を習ってみんなそれなりにできるようになってきている。

みんなで餃子作ってパーティーしようって言ったけど。まだ出来てないし、今回のデートが終わったら実行しよう。


「最初のお肉が焼けた。はいあーん」


最初に焼けたお肉をマルタに食べさせてあげる。やってから、初めての方法で焼いたし自分が食べて味見した方が良かったかもって思ったけどもう後の祭りだ。


「味付けしてないお肉なのにいい感じに塩が効いてて美味しいです」


どうやら上手くいったみたいだ。早速俺も食べてみようとお肉をとるとマルタがジーッとこっちを見ている。

マルタも俺に食べさせたいって事だろう多分。


マルタにあーんってしてもらってお肉を食べると確かに塩味がしっかりついている。

岩塩プレートもいい感じだし、マルタの作ってくれたお味噌汁も美味しかったし晩ご飯は大満足だった。






読んでいただきありがとうございます。







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