第13話

「色々聞きたいけど。まずはお礼を言わなきゃいけないね。フロンダンジョンを攻略してくれてありがとう。これでフロンに住む人達がスタンピードに怯えて生きる必要が無くなる」


ダンジョンを出てまっさきにコラーソ公爵家の屋敷に向かって、ダンジョンを攻略してダンジョンコアを持ち帰ったと報告した。

ダンジョンの近くにある都市はそれだけで発展を約束されたようなものだけど。

スタンピードという危険も背負う事になる。

まさにハイリスクハイリターン。

フロンダンジョンは高難易度ダンジョンなので、もしスタンピードが起きたらひとたまりもなかっただろう。

実際、前に起きたスタンピードを俺が終息させて無かったら、冗談抜きでフロンは滅びてたと思う。


それはフロンに住んでいる人全員が感じていることだろうし、またスタンピードが起きたら?と不安に思う人は少なくなかっただろう。

でもダンジョンが攻略されてコアが持ち出されれば、スタンピードは起きなくなる。

なので、ダンジョン攻略を喜ばない住民はいないだろう。


「本来は領主の私がダンジョンコアを受け取って、国王陛下に献上しなきゃ行けないんだけど、コウくんに持って行ってもらった方が安全だしお願いしてもいいかな?」


ダンジョンコアをダンジョンから持ち出せばスタンピードは起きなくなる。

だけど、ダンジョンコアを破壊されるとダンジョンは消失するので、今度はダンジョンコアを人間が守護する必要がある。

なので、1箇所に集めた方が守りやすいと言う理由と王家への忠誠の証として、ダンジョンコアは王家に献上され王城に安置され守護されている。


「まぁ、陛下なら俺が持って言っても問題ないでしょうし。今度持って行きます」


「引き受けてくれて助かったよ。フロンから馬車で王都に向かうとなるとそれなりに時間がかかるからね。それに傭兵国関連でカラードラゴンの素材収集も頼まれてるから、フロンを離れることが難しくてね」


傭兵国の内紛に介入する準備も着々と進んでるみたい。

それにしてもカラードラゴン素材の収集か。

飛行船を更に増やすのかな。

空を飛ばすには空を飛べる魔物の素材を使った方が性能が良くなるらしいし。

それもあって俺があげた島リクガメの素材は、飛行船の重要な部分を守る部品などに使われた。

もし、島リクガメの素材だけで飛行船を作るとカラードラゴンの素材で作った物に比べて燃費が半分以下になるらしい。

魔物の格的には島リクガメの方が2段階ぐらい上なんだけど。

相性って言うのはよっぽど重要らしい。


「俺としても傭兵国の問題は早く解決すれば良いなって思ってるので、このぐらいだったらいくらでも手伝います。ポメアン共和国対策が本命だとは思いますが」


人間至上主義国家でしかも共和国。他国から人を攫って奴隷にする。

マジでクソみたいな国家。そんな国家が傭兵国と隣接している。


「ちなみに陛下は共和国まで攻めるつもりでしたか?」


俺と話した時はそのつもりは無さそうだったけど。


「いや、あの国は形態が違いすぎて統治するのが大変すぎる。今のところ大陸から孤立させて、緩やかに滅びて貰う予定だよ」


「俺もそれでいいと思いますよ。あちらからちょっかいをかけて来るのは確実ですし。あしらってたら勝手に自滅するんじゃ無いですかね?」


「そうなってくれるのが1番なんだけどね。あの国は不気味だからね。この話はおいといて領民にダンジョンを攻略した事を大々的に発表する訳だけど。コウくんにフィアはパレード的なものをすると言ったら参加してくれるかな?」


「勿論、参加しますよ」


「この際、フランのお披露目も一緒にするか?本来、お披露目する必要は無いんだが」


普通、お披露目をするのはコラーソ公爵家の跡継ぎが産まれたときだから。本来フランのお披露目は必要ないけど。

領民からも人気があったフィアと精霊王の俺の子供だからお披露目を行うことになったという経緯がある。

最初は王都でもやって欲しいって言われたけど。フィアの故郷のフロンだけという事になった。マルタとの子が産まれたら王都でお披露目する事になるし。


「両方おめでたい事だし、まぁ一緒にしちゃっても問題ないか。日程はこちらで決めて大丈夫かな?」


「問題ないです。でも、決まったらできるだけ早く教えて貰えると助かります。それと…」


俺が異世界から帰ってきた時にメルが妊娠8ヶ月だったから今は9ヶ月すぎてて、そろそろ産まれてもおかしくないない状態だから

もし、重なった場合途中でいなくなる可能性があると伝える。


「それについては問題ないよ。そっちを優先してくれて構わない」


「もし、重なったとしてもメルはいても役に立たないから、産まれたら顔を見せに来てくれれば良いって言いそうだけど」


「やっぱりそんな感じなの?」


男は待ってることしか出来ないし、その通りなんだけどね。


「ハハ…。男としては出来ることが無くてもできるだけ近くにいたいものなんだよ。恐らくパレードは1週間間後ぐらいになると思う。しっかり決まったらちゃんと連絡するよ」


その後はダンジョンのお土産として溶岩の中を泳いでいた魚を渡して屋敷を後にした。

ほかにもお土産になるものはあるけど。

安全かどうかまだわかってないので、フェムトに見てもらって安全と分かったら改めてプレゼントすることにした。







読んでいただきありがとうございます。





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