第16話
「ようやく落ち着いてきていたのに。また面倒事か…はぁ」
ニョグダ関係がようやくひと段落して慌ただしかった情勢もだいぶ落ち着いて来てたところに今回の件だから溜息をついてしまうのも仕方がない。
「とはいえ、今回は奴隷商からの被害を減らすチャンスでもある。やらない訳にはいかない。尋問してしっかり裏が取れ次第、傭兵国の内紛に介入する」
溜息をついてはいたけど、本気で傭兵国を落とすつもりらしい。
それだけ違法な奴隷商を許せないということだろう。
「人をさらって無理やり奴隷にする連中なんて俺も許せないですからね。協力しますよ」
コノハだって奴隷にされかけたんだから、きっちり落とし前つけさせて貰わないと気が済まない。
「それなんだが今回できれば前線で大暴れと言うのは避けて欲しい」
「理由を聞いても良いですか?」
「ポメアン共和国にコウくん抜きのリンファス王国の力を見せつけて起きたい。傭兵国の中にもポメアン共和国の目は沢山有るだろうからね。傭兵国の立て直し中の妨害はできるだけ少ない方が良いから、力を見せておきたいんだ」
何でもかんでも俺が解決してると便利屋と勘違いされそうだし、国王の言う通り今回は参戦しない方が良いか。
「分かりました。なら兵站の用意とか後方支援を手伝わせて貰います」
「そうしてくれると助かる」
そのついでに島にダンジョンがあったことを話して、金属をリンファス王国に輸出することになった。
今回の件で飛行船がさらに必要になるだろうから、精錬しなくても金属として使えるゴーレム系の素材はとてもありがたいみたいだ。
しばらくダンジョンでアイアンゴーレム狩りだ。
下層ならミスリルを含んでるアイアンゴーレムもいるし、それもいくらかストックしておこう。ミスリルって凄い貴重って訳じゃないけどそれなりに貴重らしいから売りすぎると国庫が空になっちゃうだろうし。
俺がお金を消費しないからどんどん俺のところに集まって来ちゃうんだよねお金が。
前々から考えてはいるけど、どこがでお金を消費しないとそろそろ本当にやばい。
でもな、頑張って使ってもそれ以上のお金がぽんと入ってくるから本当に困る。
最初が披露宴で湯水の如くお金を使おうって思ってたんだけど、買うより自分たちの持っている物を使った方が豪華なものが用意できるので結局そこまでお金を消費することはできなかったし。
お金の使い道はフィアたちと1回相談しよう。
国王との話が終わって王都の屋敷でマルタと合流して島に転移した。
「久しぶりに帰って来たぞー」
辺りを見渡すと数日しか経ってないのに新しい建物が数軒新たに建っている。
最近はここにご飯を食べに来るだけでなく、そのまま泊まっていく幻獣種も増えたので宿屋を増やすって言ってたからその建物だろう。
それにしても仕事が早い寧ろ早すぎる。
「お帰りなさいませコウ様」
「ただいまディアーネさん。はい、お土産のホーンシープ」
「羊肉ですか。そう言えば、日本にいる時に食べたジンギスカンは羊の肉を使ったものでしたね。専用の鍋を用意する必要が有るので今日すぐにと言うのは無理ですけど、近いうちにジンギスカンを作りましょう」
地球旅行をした時にできるだけ色々な料理を食べたので、もちろんジンギスカンも食べたので、ディアーネさんなら再現可能だろう。
「ジンギスカン楽しみにしてるよ。ちなみにこれマトンの串焼きなんだけど、ハーブがあってて中々美味しかったからこれもお土産」
「確かにこれは中々美味しいですね。この感じはアレですかね…」
恐らくコレも使われてます…とどんなハーブが使われているか分析し始めてしまったのでディアーネさんは置いて行く事にした。
「あ!いたいた。ネルルちょっといい?」
「もちろんです。コウ様がご要と有れば何としてでも時間を作ります」
「そこまでしなくていいからね?今日、エイボン商会のサラーさんって人に偶然会ってね。ネルルさんは覚えてる?」
「サラーさんに会ったんですか?では、コウ様は傭兵国に行かれていたので?」
「いいや、内紛が酷すぎて孤児たちを引き連れてリンファス王国に逃げて来てハジメくんの町で生活してた所に偶然遭遇してね。俺がアラクネ製の服を着ているのを見て話しかけられたんだ」
若干騒動になりかけたとか詳しくは言わない方が良いだろう。
最近俺の事をエルフ達みたいに神のように崇め始めたし。
「そうだったんですね。私たちの服を卸していた商人は複数いましたが、サラーさんは唯一私たちに偏見を持たず、平等に接してくれた人なので無事だと聞いて少し安心しました」
やっぱり。俺との初遭遇がちょっとあれだっただけで、いい人みたいだ。
サラーさんには明日にでも会いに行って、傭兵国で注意するべき人と逆に信用できる人を
聞いておくか。
商人だから顔も広いだろう。
アラクネ製の服を取り扱ってるんだし特権階級との付き合いだってある筈だから、それなりにいい情報が手に入るはずだ。
読んでいただきありがとうございます。
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