第14話
「精霊王様。この町で騒ぎを起こさないでください」
「お久しぶりです、フィロさん。自分から問題を起こしてるわけじゃ無いんで許してください。これでも、問題を起こさないよに配慮はしてるんですよ?」
いつの間にか迎えに来ていたフィロさんに挨拶する。
「それはわかってるんですけどね。ただの八つ当たりです」
1からの領地開拓でストレスが溜まっているらしい。まぁ毎日問題だらけだろうしわからなくもないけど。
「それで、精霊王様はどう言ったご要件で?」
「魔法学校のダンジョン実習の手伝いをしていたんだけど。中々優秀な子達がいてね。優秀な人材欲しがってたでしょ?会ってみて問題無さそうだったら雇わないって聞きに来たの。後、温泉の源泉を掘る約束してそのままだったでしょ?それもやっておこうと思って」
異世界に拉致られる前に源泉がここにあるから温泉が作れるように掘ってあげるって話をしていたのをこの町についてから思い出した。
むしろ源泉が近くにあると言う理由でこの場所を将来の領都にすると決めたはずだ。
悪いなーとは思うけど、これも不可抗力ということで許してもらおう。
「ようやく温泉が作れそうで安心しました。温泉を中心とした街づくりだったので色々進められないことが多くて困ってたんですよ」
ハジメくんは温泉街を目指すって言ってたもんな。辺境も辺境だから人来るの?って思って質問したんだけど、飛行船を使って王都から空路で移動してもらつもりらしい。
まだ、飛行船は個人で所有出来ないはずだけど。
飛行船建造の為の素材集めを手伝う代わりに特別に手配してもらったらしい。
という訳で、飛行船のクルージング込のパッケージプラン的な感じで、金持ちを客層とした温泉街として発展させていくつもりらしい。
つまり俺が温泉を掘らなきゃ何も始まらないって事だ。
「まぁ、ダンジョンが見つかったのでダンジョン都市として発展させる案も出てきましたけどね」
「ここにもダンジョンあったの?」
「はい!」
そんなにダンジョンってポンポン見つかるものなの?
俺が教えて貰った話だと、こんなに何個も新たに見つかるものじゃあないと思ってたんだけど。
仕方ない事だったとはいえ、世界神様が人間界で大規模な魔法を使って魔力濃度が上昇した影響か。
「ちなみに難易度はどんな感じなんですか?」
「中難易度と高難易度の間と言った感じです。ホーンシープ食べられましたか?あれもダンジョンで出現するんです。ハジメはジンギスカンを流行らせると意気込んでました」
ハジメくんの実家が北海道にあるって聞いた事あった気がするな確か。
それでジンギスカン好きの血が騒いでしまったと。
「マトンの串焼きが売ってたから買って食べたよ。結構美味しかったし。ジンギスカンが再現出来たらまた食べに来ようかな」
「それがジンギスカンの店の店主が見つから無くて全然進まないんですよね」
マトンの串焼きを売ってたおっちゃんを誘ったのってジンギスカンのお店を作りたかったからか。
「まぁ頑張って。近くのダンジョンで取れる肉を使った珍しい料理って領地の宣伝にもなるだろうし」
「そうなんですよね。だから私たちの探してるんですけど。まず、ここが辺境も辺境ですからこの町に来てお店を出店しようと気合いの入った料理人ってほとんどいないんですよね」
戦う力がない人が、魔物がうじゃうじゃいるのに、まだ開発途中の町に住むって相当な勇気が必要だよね。
「根気よく良さそうな人が現れるまで待つしかないね」
「やっぱりそれしかないですね。それと魔法学校の生徒ということは当然魔法使いということですよね?精霊王様がお認めになってるなら、前向きに検討しますが。本人達は乗り気なんですか?」
「みんな平民だし。貴族それも勇者のところで働けるならって結構乗り気だよ。でも、まだ1年生だから直ぐに働くって言うのは無理だけど」
「出来れば直ぐにこちらに来て欲しいですけど。無理を言っても仕方ないですね。今年からマルタちゃんの授業が始まるから、魔法使いのレベルは確実に上がるでしょうし、その中で優秀と精霊王様が言った人材を確保しておけると前向きに考えましょう」
ってなると今年卒業する2年生からしたらたまったもんじゃないよな多分。
来年の生徒を多く採用するために今年は募集しないってところも有りそうだし。
来年後輩として今の1年生が入ってきたら、実力が自分の方が下とか。
2年生も無詠唱学自体は勉強してるらしいけど、1年の差って結構大きいと思うんだ。
でも、魔法使い自体多いわけじゃないし、その中から無詠唱魔法が使えるようになる人はもっと少ないから問題ないかも?
一応気にしておいた方がいいかな。
「じゃあこの話はフィロさんからハジメくんに伝えておいて貰うとして、温泉堀に行くか」
ハジメくんもゆっくり話が出来るほど暇じゃ無いだろうし。
温泉街の計画を進められるように温泉を掘ってあげないと。
「ハジメは温泉に入れるのは喜びそうですけど、仕事が増えたって絶望するでしょうね」
そっか。温泉街の計画が進められるようになったらその分さらにハジメくんが忙しくなるのか。
と言っても、温泉を掘らなかったらそれはそれで申し訳ないのでハジメくんに犠牲になってもらおう。
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます