第16話
「オークが農作業してる。魔族のいる場所じゃなくて間違ってオークの集落にでも来ちゃった?」
世界神様の転移で移動してきた場所は魔族が誰一人見当たらず、オーク達が黙々と農作業をしてる土地だった。土地が農業に向いてるように見えないので、効率は良くなさそうだけど。
「オークが農業をしてるのは魔族のスキルで作られたオークだからだな。魔力だけで生きていけるから、賃金を出す必要もない。魔物創造はまさに開拓向けのスキルじゃな」
魔王は魔物の創造ができるって聞いてたけど、魔王だけじゃ無くて魔族の種族スキル的なものなのか。
何となくお賃金なしで働かされてるオークが可哀想に見えるけど、効率的な使い方ではあるよね。
「良いなー魔物創造、居るだけで周囲の植物の品質を上げてくれる魔物とか、温泉の効能をあげてくれる魔物とか作り出して使役したい。世界神様、具体的にはどんなスキルなんですか?」
「コウが想像してるように無から魔物を作り出すことは出来ない。作り出すには魔物の素材が必要だ。そして使う素材が少なければ少ないほど、魔物の性能は落ちてしまう。ここにいるオーク達は戦闘能力を極限まで下げる代わりに、少ない素材で量産したみたいだな。農業だけに集中させるなら戦闘能力は必要ないからそれもありじゃな」
魔力だけで魔物は作れないのか。
「ちなみに複数の魔物の素材を使って新種を作る事は可能じゃが。魔物創造で作った魔物を倒して魔物創造の素材にすることはできん」
俺の聞こうと思っていいた事を先回りして答えてくれる。
新種は作れるけど魔物創造で作った魔物の素材は魔物創造に使えないのか…それが出来れば性能は落ちるけど、無限に魔物を作り出せるのに。
だから出来ないようになってるんだろうけど。
「それにしても魔物創造が無くてもフェムトがおるんじゃから魔物ぐらい簡単に用意できるじゃろう。なんでわざわざ魔物創造なんて欲しがるんじゃ?」
「確かにその通りですけど、自分でできたら面白そうじゃないですか」
「軍事利用を考えとらんようだし、高難易度のダンジョンを2つクリアしたら魔物創造のスキルを用意してやろう」
やった〜おねだりしてみるもんだな。
その内高難易度ダンジョンをクリアしに行こう。フロンとダイワの海中にあるダンジョンが高難易度ダンジョンだから丁度いいし。
「そろそろ魔族達が待ってる場所に向かうぞ。あちらさんも儂らのことが気になって仕方ないみたいじゃし」
確かに目的は魔族と話して彼らがこちらを信用してくれるなら、世界神様に色々調整せてもらった後、魔界に移住してもらうっって言うのを説明しに来たんだった。
魔物創造のスキル欲しいって話じゃなかったな。
「そう言えば、地の大精霊に結果が分かったら伝えに行くって言ってたけど直接魔族のところ来ちゃったな」
魔族たちを無駄に警戒させちゃったんじゃないか?
「そこら辺は儂がやっておいたから気にするな。ぶっちゃけ早くコウ帰ってきてもらわないとフェムトが何をやらかすか分からない、既に山が1つ消えて湖ができたからな」
…中々凄いことになってるようで。
「早く話をつけに行きましょうか」
さっきから建物や木の隙間からこちらの様子を伺っている魔族の方に歩いていった。
「ソナタが魔王と呼ばれている存在じゃな?儂らの事は大精霊から聞いておるか?」
世界神様は誰が魔王なのか既に分かっているらしく、全く迷わずに女性の魔族に話しかける。魔力量的には今、近くにいる魔族の中で1番低かったから違うと思ってたんだけど、その人が魔王だったんですね。
「私たちを助けてくれる方たちだと、説明して頂きました」
「そうか。なら話は簡単だ。ソナタらが儂らを信じるか信じないかそれだけじゃ。今すぐ答える必要は無い。皆で話し合ってどっちか決まったら儂らに声をかけとくれ。儂らは少し離れたところでお茶でもしながらゆっくり待っておるからの」
最初に魔族にこの話をしてから魔物創造の話を聞けば良かった。
そう言えば、ハルくん達は1度お城に戻ってから、この場所に居ない魔族を倒しに行くって言ってたけど大丈夫かな?
流石にベヒーモスクラスの魔物を創造してるってのは無いだろうけど、魔物の数は揃えてそうだし、弱い魔物でも何千何万と用意されたら勝てないだろうし。
「そこまで心配する必要は無い。魔物創造のスキルで創造して同時に従えられるのは多くて100匹程度。この場に居ない魔族は約50人ぐらいだから従えられる魔物は多くて5000ちょっと大精霊達も全員参戦するようじゃから文字通り一瞬で溶けるじゃろう 、その程度の数なら」
確かに大精霊達が参戦するならその程度の数無いに等しいか。
「大精霊達が参加する関係上、ここにいる魔族を移動させて、大精霊達が張っている結界を解除してから始める予定じゃから今頃は仮眠をとってるところじゃろう」
大精霊達はここの結界維持にほとんどリソースを割いてるみたいだし、確実性を取るならそうするのが無難か。
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます