第15話

「魔族を救って欲しい?でもさっき魔族を倒せって言ってたよね」


「水の精霊王様、それは結界の外にいる魔族をです。実は我々大精霊達が張った結界は人族を襲っていない魔族達を保護する為に張ったものなのです」


魔族を閉じ込める為にじゃ無くて保護する為に張った結界か。


その後、地の大精霊から詳しい話をしてもらった。


確かに魔族は存在するだけで世界を崩壊させてしまう存在してはいけない種族だけど、彼らが望んでそんな種族に生まれた訳では無い。

この世界の神のミスから生まれてしまった。

それに魔族自体、性格は優しくおおらかな人が多いらしい。

そんな魔族をどうにか助ける事はできないか?と、この世界の神は色々頑張っているらしい。


だけど、ただ存在するだけで世界を崩壊させてしまう存在。そんな存在として自分たちを生み出した神を憎み人間に対して攻撃を始める者たちが出初めてしまう。

なので、人間から悪いことをしてない魔族を守るために大精霊達が結界を張ったらしい。


「ひとまず、結界の外にいる魔族はサーチアンドデストロイでいいわけだ。ほかの魔族が世界に影響を及ぼさないようにする事はできると思うけど、この世界で魔族たちが平穏に暮らすのは無理じゃないかな?」


既に何カ国も魔族によって滅ぼされてるって話だし。

いくら、この魔族の人たちは人間に対して一切攻撃していませんと言っても、じゃあ仲良くしようなんてならないだろう。


「俺の住んでる方の異世界に移住してもらうのもありだけど、流石にそれは俺の一存じゃできない。世界神様の許可を貰わないと」


「我々では、もうどうする事も出来ないのです。可能性が有るだけ素晴らしい事かと」


魔族に関しての話はフェムトから念話が届いた時に事情を説明して世界神様に確認してもらう事になったので一旦保留。結論が出たらすぐに結果を伝えると約束した。



「では、私はそろそろ失礼致します」


「帰って行ったか。カルアさんさっきの話魔族に甚大な被害を受けている、この世界の人間としてどう思いますか?」


「正直、色々な感情でごちゃ混ぜになっていてなんと言えば良いか…。でも、何もしてないのに存在すること自体罪だと言われるの悲しいと思います。人間を攻撃してきた魔族は絶対に許しませんが、そうでない魔族の人達は1度ぐらいチャンスがあっても良いんじゃないかと思います。なので、今、大精霊様から聞いた話はここにいる人以外に話すことを禁止します」


後はフェムトがいつ念話をしてくるかだな。

これでダメって言われたらどうしよう。

良い魔族もやっぱり殲滅しなきゃダメかな?

流石に何も悪いことしてない人達を殺すのは嫌だし、その時はなんか別の方法を考えるか。


「そんな心配せんでも大丈夫じゃよ。ちょうど魔界にもそろそろ人間種に住んでもらおうと思ってたところじゃから、その魔族に魔界に住んでもらえばよかろう」


「世界神様!なんでここにいるんですか!?この世界の影響とか大丈夫なんですか?」


「今回は地脈の正常化みたいな大掛かりなことはせんから、大した影響はでない。それに今回、儂から流れ出てる魔力は大精霊の休眠状態を解くのに使ったり精霊を活性化させるのにも利用していから、ダンジョンに潜る必要もないぞ」


すげぇ流石、世界神様レベルが違いすぎる。

この世界の問題ほぼ全て一瞬で解決したじゃん。

後は悪い魔族をハルくん達が一掃するだけで終わりだ。


「世界神様、今回えらく積極的ですねどうしたんですか?」


「まず、水の精霊王が長期間不在と言うのはあまり宜しくない。その分フェムトの負担が増えるからな」


この世界だって俺と同じ役割をしている大精霊達が全員休眠状態にはいったせいで大変な事になってるわけだからそりゃそうか。

違うのはフェムトがいるから、ここまでの被害はでないけど。


「世界神様?一つ質問なんですけど俺、そこまで長期間不在という訳では無いですよね?」


まだ2週間ぐらいのはずだよ?この世界に来て。


「2つ目の理由に関わって来るんじゃが、こっちではまだ2週間程度でも、儂らの世界では既に半年すぎている」


時間の流れが違うの?

待って既に半年すぎてるって事は…


「フィアはもう出産してるってことですか?」


「元気な女の子じゃ、コウと同じ人間と精霊のハーフじゃ、ちなみに転生者で前世の記憶持ちでもある。前世は親に虐待を受けていた可哀想な子じゃから、めいいっぱい可愛がってあげるのじゃぞ、後はメルが妊娠7ヶ月じゃ」


色々盛りすぎじゃないかな?まあ精一杯可愛がるのは当たり前だ、将来はきっとフィアに似て美人さんになるだろう。

メルも妊娠してたのか、俺がいた頃だとまだ妊娠1ヶ月だから俺に伝えてなかったのかな。その頃のフィアを介護しようと構いすぎて怒られたことあったし、俺にはもうちょっと落ち着いてから教えようってなっててもおかしくない。


「フィアには悪いことしちゃったな」


男だからいたところでなにかできた訳じゃないけど、だからって居ないのは最低だろう。


「今回は全面的にコウは悪くないんだから仕方ないじゃろう。そんなんだと逆にフィアが悲しむぞ。早く魔族のところに移動するぞ」


こうなったら1秒でも早く帰ってやると気を入れ直し世界神様と一緒に魔族に会いに移動した。





読んでいただきありがとうございます。


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