再びの異世界転移編

第1話

地球観光から帰ってきて、パレードや披露宴の日取りが決まり。招待状を送る人を決めて送ったり。フィア達は忙しそうにしている。

俺はその間やることが無いので暇だ。

式で着る服もアラクネ達に既に注文してるから本当にやることが無い。

かと言って1人でダンジョンに行く気にもならないし。

何しよっかな〜とフラフラ島を歩いていると突然足元に魔法陣が現れた。

何も予兆が無く突然の事だったので、対応が遅れてしまった。

すぐに目の前が真っ白になり、辺りが見えるようになるとさっきまでいた島では無く、城の謁見の間に突っ立っていた。


(一体どこのどいつだ。こんな事する奴は)


謁見の間のつくりと王様らしきおっさんは見た事ないので、これまで俺と一切関わりが無かった国だろう。

自分のフィールドに呼び寄せて俺を殺すつもりだったのか?

それにしては兵士が少ないし、相手に戦意が見られない。

王様っぽいおっさんもなんかやつれてる気がするし。


1度落ち着いて周りを見渡して見る。

俺1人じゃなくて高校生ぐらいの子も何人かこの場に転移させられたらしい。


それによく見ると、口から血を吐き出してぶっ倒れてる女性がいる。

魔法使いが必死に回復させようとしてるけど、効果は無さそうだ。


もしかして、また異世界召喚に巻き込まれた?


今にも死にそうな女性がいるのは異世界から人を召喚した反動でって考えれば、何となく納得できるかな?


俺のせいで人が死ぬのは嫌だし、ひとまずこの人の治療をするかと近づこうとしたら、俺より早く異世界召喚された1人と思われる女の子が駆け寄って、手で触れると女性が光だし、喀血が止まって徐々に呼吸も安定していってるように見える。


俺がなにかする必要は無かったようだ。


女性が回復する姿を見て、謁見の間にいる人達が聖女様だ…奇跡が起きたと騒がしくなった。


どうしよう?何も言われず、ずっと立ってるの辛いし帰って良いかな?でも、異世界間の転移は流石に出来ないんだよね。

と言うか島に転移しようとして、転移魔法を発動したけど行き先が存在しないってキャンセルされたので、ここはまた別の異世界で確定だ。

ちょー面倒なことになった。

フェムトに念話も出来ないし、もしかして一生フィアたちに会えない?

その可能性に気づいた瞬間、立っているのが不可能なぐらいの目眩に襲われて呼吸が出来なくなる。

そのまま意識を失ってしまった。


ーーーー



「知らない天井…さっきまでのことは悪趣味な夢じゃ無くて、現実ってことか」


最悪の気分だ。俺の事を召喚した奴を1発殴ってやりたい衝動に駆られたけど、ここで暴れたって元の異世界に帰れる訳じゃない。


…元の異世界って凄い矛盾してるな。

落ち着いて帰る方法を探そう。この世界にも神がいるならそいつに接触して脅してでもフィア達がいる世界に帰る。

フェムトが見つけてくれる可能性だってあるし。


「目を覚まされたようですね」


「何とか。調子が良いとは言えないけど。私は何をすれば良いんでしょうか?」


「詳しいお話は国王陛下直々にご説明なされます。今すぐ陛下のところにお連れすることはできますが、先にお食事をとった方がよろしいかと。お客様が意識を失われて既に1週間経過していますので」


1週間も気絶してたのか。1週間行方不明って皆心配してるだろうな。

もし、心配してなかったら泣く。


(心配しない訳無いでしょ?いつまで経ってもコウが帰って来ないからおかしいってなって。調べたら異世界に召喚されてるし)


(フェムト!?)


(ようやく念話が繋がった。コウがいる異世界を見つけて、ずっとコウに念話送ってるのに返事が無いから心配したよ。みんなにようやくコウは無事だよってしっかり伝えられる)


(心配かけて悪かった。1番重要な事だけど俺はそっちに帰れるの?)


(そりゃ勿論。地球とこっちの世界の行き来だって出来るんだから。勿論可能だよ)


そっか。それなら良いや。1番の問題点がすぐに解決して良かった。


(じゃあ今すぐそっちに帰りたいんだけど)


(それがね。出来ないことは無いんだけど。安全にって考えるなら直ぐには無理なんだ。もっと言うと恐らく勇者を召喚した理由であるものを排除しないと邪魔されそうだし。コウにくっついて、こっちの世界に紛れ込まれると厄介だから)


(分かった。そっちの世界を巻き込みたくないし。大人しくこの世界を救ってくる)


(やりすぎ無いでね?…もう限界か。これ以上念話を続けるのは無理そうだから、これで切るね)


フェムトの声を聞けただけでだいぶ持ち直した気がする。直ぐには無理だけど、帰れるってこともわかったし。


「お客様大丈夫ですか?」


フェムトから念話が来たからメイドさん放置してた。


「すいませんぼーっとしていました。

食事は大丈夫です。お腹も空いてませんし。それより、国王陛下から説明をして頂きたいです」


「そうですか。それでは執務室の方へご案内させて頂きます」


寝巻きに着替えさせられていたので、服を着替えて、執務室まで案内してもらった。





読んでいただきありがとうございます。


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