第4話

「その動き、思考加速だけじゃ絶対出来ないだろ。身体強化みたいなことも出来るの?」


思考加速って簡単に言えば頭の中で考える時間が早くなるってことだから、本人からしたら周りがゆっくり動くように見えたりするだろうけど、周りからしたら変化は分からないって思ってたんだけど、愛の動きは確実に常人のそれではなかった。異世界で身体強化を使った戦闘職の動きをしていた。


「私も最初は気づかないで使ってたんですけど、先輩と同じ指摘をされて確かにおかしいって思って検証してみたら、思考加速中はセットで身体能力も上がるらしいです」


なんとまぁ便利な超能力だ。異世界に来るとしてもじゅうぶんやっていけそうだな。


「倒したのは良いですけど、この後みなさんも事情聴取で時間を取られると思うので観光どころじゃ無くなっちゃいましたね」


犯罪者を倒して、誰も怪我しなくてよかったね。じゃあ俺たちはお店でますね。とか出来るわけ無いからそうなるよね普通は。


「フェムト色々後始末宜しく」


こっちにはフェムトがいるのでやりようはいくらでもある。

最終的に愛以外はこのファミレスに来ていないことになった。当然料理も注文していないことになっているので料金も発生しない。

フェムトが言うには俺たちの料理に使った食材もちゃんと元通りになってるから気にしなくて大丈夫って言われたけど、食べた料金分を募金箱にぶち込んでおいた。

伝票を見たら5万超えててファミレスで5万超ってどんだけ食ったんだよと思いながら募金箱に万札を入れた。


よしこれでやることはやったし気を取り直して観光の続きをしようって思ったら、愛に止められた。

このまま別れたら合流出来ないでしょう?ということだ。

愛からスマホを1つ渡された。

事情聴取が終わったらこれに連絡するって事らしい。

中身は見るなと念を押された。

わざわざ怒られるようなことはしないよと言ってスマホをポケットにしまい、今度こそファミレスを後にした。


「もう15時だしあまり見るものが多いところに行くには時間が足りないな。今日泊まるところだって決めてないし」


「泊まるところなら、アイちゃんが家に泊まればいいってご飯の時に言ってたじゃん。聞いて無かったの?」


君たちが愛から俺が中学生の時の恥ずかしいエピソードを聞いて盛り上がってるから現実逃避してたんだよ。


「じゃあ本屋に行きませんか?料理のレシピ本が買いたいです」


時間を潰すのにも丁度よさそうだし、ほかのみんなも気になる本が有りそうだったので、本屋に向かうことになった。


「三、四ヶ月程度じゃそこまで新しい巻が出てる訳ないか。今買っても続きが気になっちゃうだけだし、せっかくだし既に完結しているのを何作か買っていくか」


おれが読んでいた漫画どうなってるのかな?とコミックの売り場に足を運んだけど、異世界に転移してまだ半年も経ってないので新刊が1巻出てるとかその程度の違いしか無かった。


どうせ、完結まで読めないわけだし買わなくて良いかと最初は思ったけど。

あっちの世界に漫画って言う文化を持ち込むのもありかもしれないなと思い、自分が読んでいいた漫画で既に完結していて、面白かったなと思ったものを何作か大人買いする事にした。


チラッと他のみんなも何を買っているのか確認したら全員大量の本をカゴに入れていたので一緒に会計するのは無理だなと判断1人でレジに向かった。


両手に大量の漫画が入った袋を持ってみんなが会計を終わらせて外に出てくるのをまつ。

全員両手に袋を持って本屋さんから出てきた。

本屋さんだけでも何十万単位で買い物したので確実に軍資金が足らなくなると思ったので最初に行った所とは別の質屋によって貴金属を現金化した。


みんなも買った本を読みたそうにしてるし、今日はこんなもんかな?って思ったけど、家に泊まれば良いって言った愛がまだ事情聴取から解放されないらしく連絡が来ない。


仕方がないのでゲーセンのクレーンゲームでお菓子を乱獲しているとスマホから音が鳴り出した。

多分着信音なんだろうけど、なんでア○マスの曲に設定してるんだ。あいにくクレーンゲーム中で手が離せないので、フィアにポケットからスマホを取り出してもらって電話に出てもらった。

使い方を説明しなきゃ行けなかったから結局クレーンゲームは途中で辞めることになったけど。


「通信用の魔道具がここまで小さくなったら便利なのに」


今ある通信用の魔道具はデカすぎて持ち運びできるようなもんじゃ無いからね。

これもハジメくんと一緒に異世界に召喚されて錬金術のチートスキルを貰った子が飛行船と一緒に作った物だからこれから小型化されてくんじゃないかな?


「それで、愛はなんて言ってた?」


「やっと解放されたから、今から迎えに行くと、全員乗れる大型の車で来てるから、スーパーよりながら家に帰る予定だって」


「場所言ってなかったけど、ここまでこれんの?」


「スマホのGPS?があるから大丈夫だって、引き続きクレーンゲームして待っててだそうだ」


元は愛のスマホだし、失くした時のGPS設定ぐらいしてるか。


言われた通り迎えに来るまでクレーンゲームで遊ぶとしますか。





読んでいただきありがとうございます。




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