第43話
「これはまた大量に集めたな」
ロスさんに連れてこられた場所には精霊たちが食べられそうと思った植物が山のように積まれていた。
ぱっと見てわかるものだとマンゴー、バナナ、パイナップル、ドラゴンフルーツに似た果物があった。
パイナップルに似たものはこの島以外でも見たこと有るから食べても問題ないはず。
そう伝えるといつの間にか集まっていた精霊たちが食べてみたいとはしゃぎ始めたので、食べれるようにカットした。
その時、俺の果物ナイフを見たリースさんとロスさんが本当に精霊石で調理器具作ってるんだ、やっぱり水の精霊王って料理が好きじゃないとなれないのかな?みたいな事を言ってたけど、そんな事ないと思う。
候補になった2人がたまたま料理が好きだっただけのはず。
そもそもディアーネさんほどの熱意はないから。
後は形は似てるけどこっちの世界では見たことないものばっかりだからどうしよっか?
もしかしたらまずいかもしれないし毒があるかもしれない。
って思ってたら毒に関してはロスさんが判別できるらしくここに毒のある植物はないらしい。
ならばと取り敢えず切ったりしなくても食べられるバナナを配った。中に種があるかも気になったし。
皮を向いてみると特に種らしきものは見つからない日本のスーパーで市販されてるバナナと同じで種の名残のようなものが有るだけだった。
果物以外にもアボカドとか蓮根などの野菜系の食べ物もあったけど、大多数の精霊は甘い果物の方が好きなのでこっちは後で食べる事になった。
「果物もやっぱり甘い方が人気?」
「酸味の強いものはあんまり好まれない」
じゃあキウイフルーツはやめておくか、手に持っていたキウイフルーツを一旦置いて別の甘い果物にしようと思ったら、俺が一旦手にとったのに食べないで置いたのが気になったらしい。ちょっと酸っぱいかもしれないから別のにしただけだよ?って言っても、とてつもなく美味しいから1人で食べるつもりなんじゃと騒ぐ子がいたのでじゃあ食べてみよう。残しちゃダメだからね?と手渡した。
案の定ちょっと酸っぱいのと種の食感も得意じゃなかったらしく悲しい顔をしながら完食してた。
ちなみにキウイフルーツを食べた子はその子1人だけだ。
他の子はその子が食べてどんな反応をするか見て、美味しそうに食べてたら食べるつもりだったらしい。
キウイフルーツまずい訳じゃ無いんだけどなー。
最後は好きだろうなと思って大トリとして取っておいたマンゴーを切って渡すと大好評だった。
「ねぇ。ここにも果樹園を作っていい?」
ディアーネさんが精霊界でやってるように農業をしたいということらしい。
土地は余ってるし南国フルーツをいつでも食べれるなら大賛成なので、お願いすることにした。
ディアーネさんの農場を手伝った事がある子も沢山いるらしいので、俺は何もしなくても大丈夫みたい。
ただ、近くにため池を作るから精霊石を置いて言って欲しいって言われた。
俺じゃなくても水の精霊が水作って水を撒けば良いんじゃないの?と質問したら、精霊王の魔力で作られた水で育てられた方が美味しくなるから必要らしい。
なんでそんな事知ってんの?って聞いたらディアーネさんの実験の結果らしい。
そう言えばディアーネさんに精霊石をくださいってお願いされた事があったな。
自分で作ればいいじゃんって言ったら純度が違うんです。って言われたからあげたけど、そんなことしてたのね。
精霊石を渡すだけで美味しい果物に野菜が食べれるならいくらでも渡すけどさ。
精霊石をいくらか作って渡したあと、フィア達のお土産分を貰ってからその場を後にした。
「それで2人はなんで着いて来たんですか?」
あの場所に残って指揮をとるのかなって思ってたらリースさんとロスさんは俺に着いてきた。
「小さい子たちと違って私たちは野菜の良さもわかる大人ですからね」
「見た事ない野菜どんな味するのか気になる」
野菜も食べたいのね了解。リバイアサン達の臨時屋台を少し借りて、黄金マグロとアボカドのユッケ丼とレンコンのはさみ揚げを作った。
「アボカドって見ただけじゃ味が全然想像できなかったけど、実際食べても不思議な味ね。でもすごく美味しいわ」
「レンコンのはさみ揚げを美味しい。レンコンのシャキシャキ感がいい感じ。あとこのソースも美味しい」
2人があまりにも美味しそうに食べるので屋台で料理しているリバイアサンを含め全員が食べたそうにこっちを見ている。
こちらが全員精霊王なのは分かっているので
食べたいと口に出す人はいなかったけど。
仕方が無いのでリバイアサンに作り方を教えながら何回か作って後は食材だけ提供してリバイアサンに任せた。
これ以上なにか頼まれる前にさっさとここから離れようと思い、ティアナさんにリバイアサンの里に帰ると挨拶をして別荘に帰った。
別荘に帰ってもディアーネさんに持ってきた物の説明をせがまれて、結局料理をすることになった。
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます